Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.

2022/06/30 (Thu.)

  • 京都に戻ってきて2日で気合いで査読を終わらせた。今回は2本しか受けなかったので、気持ちにも余裕があって比較的良い査読が書けたのではないかと思う。ただ2日間これに全集中していたので、他のことをやる気力がほとんど起きない。
  • あまりにも暑いし、一旦家に帰って気分転換する。6月なのにいつまで35度超えの猛暑日が続くんだ。

2022/06/28 (Tue.)

  • 自分のセミナーの発表も無事終わった。持ち時間90分で全く終わらなかったけど、少なくとも純粋数学者の人に自分の抱えている問題の面白さの端緒は伝わっている反応で、それは望外の喜びだった。加えて、可測選択定理を持ち出す議論 (06/24)がそれなりに数学者の観点からは(誰もが思いつくかどうかは別として、言われれば「あーなるほどね」となる程度には)自然そう、という分野の雰囲気感も伺うことができて、そういう異文化交流は何にも代えがたいなと思った。今回いらっしゃった数学者の方たちは異文化交流に積極的な興味を持っている人たちだったので、丁寧にお互いのわからないことを擦り合わせていくことができて、それ自体はとても時間のかかることだけれども、重要なステップだと思う。
  • 名古屋は京都から1時間もかからないし、ご飯やビールも美味しいし、本当に良い。あまり出張の機会は多くなかったけれども、また来たくなってしまった。

2022/06/27 (Mon.)

  • 名古屋に来た!記憶を思い返していたら、最後に来たのは実は2年前に友達と下呂温泉に行ったとき (2020/03/15)の帰りに少し寄って、あつた蓬莱軒とか行ったことを思い出す。その前はIBIS2019 (2019/11/20)。思ったより名古屋に来ていた。
  • 半日どっぷり数学の話から応用計算機の話までセミナー漬け。来るまでは正直なところ文化も違う人が結構いるし、自分の作業時間も割かないといけないしで結構億劫だったけど、来てみてセミナーに集中して気になったことを好きなだけ聞いて勉強するのは思った以上によかった。オフラインなのが大きく効いていて、「こんなことわざわざ聞くかな」みたいなことでも気軽にローコストで聞けてしまう。2ヶ月に一度くらいこういうのを定期的にやりたい気持ちが蘇ってきた。
  • ただし、明日の一番手に待ち構えている自分の発表に関してはまだ戦々恐々としている。うまくいくだろうか。

2022/06/25 (Sat.)

  • 友達が京都旅行に来ていたので、夕方から烏丸御池あたりで飲み歩いた。先週行って入れなかった新町御池の水琴窟に再挑戦して無事に入れた。店主の癖は心の準備にもかかわらずやはりそれなりに強かったけれども、こじんまりとしたカウンターで美味しい海鮮のおつまみをいただきながら飲む日本酒はとても良かった。

2022/06/24 (Fri.)

  • 来週の週明けに参加する、数学者から誘われた勉強会での発表のための準備を行っている。今回もcalibration functionの話 (2021/08/03)をしようかと思っている。年末に石川さんたちと議論した (2021/12/16)ときからまだ特に手を動かせていないので、本来なら手を動かして自分でできる部分、できない部分をはっきりさせるべきなのだけれども。Steinwart (2007)のTheorem 3.2(可測関数空間における条件付きリスクの有界性とP-minimizabilityの必要十分性)の証明をもう一度、Castaing & Valadier (1977)の可測選択定理まで踏み込んで読み込んだ。1年前よりはだいぶ大筋がわかるようになってきていると感じる。鍵となるのは、射影定理によって所与の(2引数)関数のグラフがもし可測なら射影後も可測であることが保証できるという事実で、それによってε-最適を達成する可測選択関数が構成できる。こうやって見てくると、まだ証明は追えてないのだけれども射影定理(あるいはその一般形?のAumannの選択定理)が本質的に強力な道具なのだろうか。射影定理の証明はそれほど長くないように見えたので、時間さえかければ追える気がする。

2022/06/22 (Wed.)

  • 一昨日の夜、自宅でproper lossの導出計算に興が乗ってノートに向かって計算をしていたら、突然火災報知器が鳴り始めた。突然の事態が起こったときは事情を把握することもままならず、そもそも最初は火災報知器の音だということすらもわからなかった(最近能登半島の方で地震が頻発しているので地震警報かと勘違いした)。最終的には火災報知器の誤作動だったようなのだけれど、119通報して消防と警察に事情を説明して一段落するまで1時間以上かかって、その間ずっと火災報知器の爆音に耐えなければならなかったので結構なストレスだった。こういうこともあるのか、という一つの経験だった。
  • 実験コードの設定を変えながら実験を繰り返していると、結局のところ最適化の終了条件のしきい値パラメータや正則化の強さのパラメータを調整していくと、解がきれいな近似性をだんだん示すようになってきた。定性的には良さそうな図が描けそうになってきたので、とりあえずLaTeXに書き始めることにした。ただ、この研究は前の研究室の後輩のまだ成仏していない研究とほんの微妙に関連があるので、勢いで書き上げてすぐに投稿、というわけにもいかないのが少々もどかしい。Tsallisエントロピー回りはだいぶわかってきたので早く論文としてまとめて次の研究に行きたいのが本音だが、少し待つしかないゆえに時間ができるということで、もう少し情報幾何まわりなどの理解を深めるのはありかもしれない。

2022/06/21 (Tue.)

  • 時間が取れるようになってきたので実験コードをもう一度動かしてみるけれども、やはりなかなかうまくいかない。相変わらず実行時間が遅い。まあ実行時間に関しては計算量オーダー評価に留めておけばよいのかもしれないけれども、実装が悪いのか本質的にアルゴリズムの筋が良くないのか、なんだか挙動がぱっとしない。ものの試しにBlondel et al. (2018)のコードを動かしてみたら、計算も速いし解の近似性も定性的に見て自然な挙動だし、きれいに動いているのが恨めしくなる。自分の定式化は何が悪いのだろうか。

2022/06/20 (Mon.)

  • 学会や様々な取りまとめが一段落した気がする。来週にまだまだ出張を2件も控えているけれども、心理的な負担がかなり減った。
  • 実装で詰まっている研究 (2022/06/06)から逃れて気分転換するために、一年前に少しぼんやり考えていたproper loss (2021/6/15)の考察を少しした。あのときから比べると、Frongillo & Waggoner (2021)で新たにsqrt classification regretの下限に関する議論は登場していたりするけれど、strictly vs. strongly proper lossの違いについてはやはりまだ良く知られていない。少し手元で計算してみると、Bayes riskのオーダーが1次から2次の間だと、strongly properだけどtransfer rateがsqrtよりも良くなるようだ。Frongillo & Waggoner (2021)でまだ知られていないか、少なくとも明文化されていない、lossの階層構造がある気がする。ここをもう少し調べて詰めたら、自分がワクワクできる研究になる予感がある。

2022/06/19 (Sun.)

  • 週末に親不知を抜いた。1年半前に上の親不知を抜いたとき振りで、下の親不知は曲者だと散々聞かされてきたけどとうとう腹をくくった。歯の先端を削ったりしながら抜いた割には思ったよりあっさり抜けた気がするけれども、もう一本残っている下の親不知をまだ抜かないといけないかと思うと憂鬱になる。ロキソニンを飲んで横になっている。
  • 昨日から明らかに湿度が上がって、一気になんのやる気も起きなくなった。本当に耐えられない。今週の学会と連日の飲み会の疲れに加えて、親不知の抜歯と湿気で、週明けても何もできない気がする。

2022/06/17 (Fri.)

  • 人工知能学会、思ったより昔の知り合いがたくさん来ていて、みんな元気そうにしているのを確認できた。それと同時に、コーヒーブレイクや飲み会であまり興味のない話が延々と続くのを無碍にも出来ずにその場に居座ってしまい、無為に時間を過ごして消耗してしまっている。夜の9時になっても10時になっても一向に話が止まらないのを見ると、思った以上にみんな話すことに飢えているのか、むしろ自分が思った以上にドライなのか、いずれにしても疲れている。久しぶりの人たちだから誘われた飲み会には顔を出すことにしたけれど、自分で時間をコントロールできない場に出ていくのはかなり嫌だという気持ちになった。
  • 学会期間中に新しい共同研究者を探している人や、共同研究をコーヒーブレイク中に議論して仕上げている人たちを見ていると、あまりのバイタリティに少々絶句する。そもそもそこまで共同研究をしたいという動機が僕にはないし、勿論そこまでの行動力もない。自分のやっている研究が詰まっているし、後輩から持ちかけられた研究の赤入れをしたり、他の仕事をやっている間に1ヶ月も2ヶ月も過ぎている。他の人と新しい研究をやっている暇が大前提としてない。共同研究者と楽しそうにやったり、一緒に研究発表をしているのを見ると、少なからず羨望の気持ちを抱く。でも自分にはそんなキャパシティが現状はない。
  • 少し立ち止まると、最近は計算機科学を使ってどうやって社会を変えるかという出口をあまりにも意識しすぎている気がする。卒業式の答辞を練り上げるときに技術と社会の関係を真面目に考えて言語化したのも小さくないトリガーになっていて、自分の思考がそちら側に縛られて目の前の堅実な仕事に手が出ないでいる気がする。もっと素直に自分が学問として興味を持てる課題に手早くさっさと取り組んだ方がよい気がしている。でないとそもそも社会との関係を考える前に何もアウトプットができない。

2022/06/15 (Wed.)

  • はじめての人工知能学会に参加している。ちょうど京都で開催されるのもあったし、もう3年近くも現地の学会に参加していないから、久しぶりに同業者に会えるかなと思い、参加登録をした。ELSI関連のトピックを中心に聞いているけれど、こういったトピックは自分の周囲でまとまって聞ける場が多くはないので、聞いていて参考になる。

2022/06/14 (Tue.)

  • アメリカビザの面接に行ってきたが、やはり今回も保留されてしまった。今回も出発まであと1ヶ月しかないのに、また間に合うかどうかわからない。
  • プロジェクトの取りまとめが大変すぎる。十数人メンバーがいると仕事の方針が衝突するのだが、それを調整するにもレスポンスが非同期的すぎて全然意思決定ができない。一方で同期的にミーティングを行うにしても忙しすぎるメンバーを一同に会する場を作る心理的プレッシャーが大きいし、ミーティングで一度に意思決定できる量だって限られている。結局意思決定が全く進まず、そして皆忙しくてプロジェクトの運営を回す人間がいないので、気づいた人間がやらざるを得ない。最近はずっとこの件でひとりで議事録を作ったりしていて消耗している。
  • 少し時間があいたら人から依頼されている原稿に目を通そうかと思っていたら、別の人から別の原稿の依頼が来たりして、どんどん仕事が積まれていく。いつになったらタスクを消化しきって気心なく研究ができるというのか。

2022/06/12 (Sun.)

  • 先日優待券をいただいたので、折角だし気になってもいたし、GEARの公演に行ってきた。演劇らしい演劇は本当に学生時代に友達のサークルの演劇を見に行ったときぶり。GEARのシアターは専用で作り込まれているのもあってセットの世界観に引き込まれる。演者さんはみんなマジックやブレイクダンスなどご自身の芸だけでなく演劇の訓練も積まれているので、これだけのパフォーマーを集められているのは相当すごいことだなあと思う。圧倒的な世界観と演技力で、これは国外からの評価も高いしリピートもしたくなる気持ちがよくわかった。

2022/06/11 (Sat.)

  • 白眉で関わっていた鏡プロジェクトの当日だった。昨日から機材の運び入れやセットアップを業者なしで自前で行っていて、映像や照明はこういう感じで用意するのか、と非常に勉強になった。想像以上に大変だったので素人であまり日常的には自前でやりたいとは思わないけれども。それと、今回機材を提供してくださった宮野先生には初めてお会いしたのにどこかで見かけたことがある気がするなと思っていたら、だいぶ昔にacademistの「といとうとい」のプロジェクトインタビューで見かけたのを思い出した。「といとうとい」は「また面白そうな企画があるなあ、気になるなあ」と思っていたので、まさか突然本人と邂逅するとは全く予期していなかった。さらに、今日は当のacademistの柴籐さんが審査員でいらっしゃっていたのでご挨拶できた。突然話すことになった半年前には、今日こんなことになるとは思っていなかった。
  • 鏡は自分は着任してから足掛け2ヶ月少し、初めてPRWGで関わったプロジェクトで、一応ここで一区切りということになるけれども、研究時間を割きながら関わるにはそれほど簡単ではなく、一段落という気持ちは小さくない。自分の中ではアウトリーチ、サイエンスコミュニケーションは大学研究者として欠かしてはいけないのではないかと思っているので、その信念にしがみつきながら裏方の仕事を引き受けてきたのだが、ふとしたときに自分が何のために研究しているのかわからなくなることがある。先日は別の場所で、そして今日の打ち上げでも、なぜ大学研究者はアウトリーチが必要だと思うのか、と聞かれて、一瞬不意をつかれて答えに窮したし、結局国税で賄われている云々といった味気のない答えしか返すことができず、なんだか自分の信念だと思っていたものが急に大した事のないものに思えてしまった。他の人と話していると普段の思考量の蓄積を感じずにはいられないので、自分の考えが浅薄だと思わされてしまう。

2022/06/09 (Thu.)

  • 本の査読をするのが論文の査読よりも楽しいのは良いことなのだけれども、ふと冷静になると本は勉強・インプット的側面の方が論文に比べると大きいので、そう考えると自分の気持ちに正直になれば僕はやはり無批判的にインプットする方が性に合っているということなのだろうか。そうだとすると研究者的素質としては十分じゃないなと思ってしまったので、少し落ち込んだ。もちろん、論文の査読は他にも様々な要因があって快く思えないのもあるので、単純比較できる話でもないのだけれども。

2022/06/08 (Wed.)

  • 知り合いに依頼された原稿査読を行っているのだが、非常に勉強になっている。最適輸送の細かな解釈や理論的背景が体系立って学べているので、査読させてもらえることがむしろありがたいとすら言える。むしろこれを読んでいると自分はこんなことも知らずに最適輸送の論文を書こうとしているのか、という気持ちにすらなってしまう。あまり真面目に読んだことはないのだが、Peyré & Cuturiにはここまで解説されているのだろうか。されていない気がするので、この原稿が世の中に出るのは相当インパクトがあるのではないだろうか。

2022/06/06 (Mon.)

  • 今日も雑務を淡々をこなす。自分の研究の実装が遅くて改善する方法がすぐに思いつかないので、若干逃げているところもある。はやくこの研究はまとめあげたいところではあるのだけれど。
  • 週末までは天気が良かったけれど、天気の良くない日が続くらしい。関東ははやくも梅雨入りしたようだ。6月は精神を保っていさえすれば御の字だ。

2022/06/03 (Fri.)

  • 昨日は突然知り合いが京都に訪ねてきて、しかも就活の面接で来たらしくて驚いた。折角なので帰り際に京都駅のクラフトビアマーケットに行った。去年の11月ぶりに一緒に飲んだ。PhD出て数年の間の研究キャリアは今後のキャリアにおいてどういう研究をしていくのかを大きく左右するだろうし、大きく方向転換するなら今だろうしで、向こう数年で自分たちが何をするのかは想像している以上に大事だよね、という話をした。
  • 京大に来て2ヶ月、ついに首藤先生に会った。最後に会ったのはもう6年前とかになると思うので、巡り巡って京都で会うことができて感慨深い。首藤先生も准教授から教授へ昇進するタイミングだったり、京大で一から研究室を立ち上げるタイミングだったりで、キャリアや研究室運営についてなかなか一般では聞けないような話を聞いた。首藤先生の日記にもデビューできたのが密かに嬉しい。
  • お昼時に吉田南を通ったら、正門前に機動隊が厳戒態勢を敷いていて、何事かと思ったら全学連の大規模集会が開催されていた。正門前広場を埋め尽くすほどの、100人以上の人が集まっていたのではないだろうか。東大も学生運動の名残と無縁ではいられないけれども、さすがにここまで大規模の集会に遭遇したのは初めてで驚いた。

2022/06/02 (Thu.)

  • ゴールデンウィークの間にアウトレットで数年ぶりに夏服を買ってきたおかげで、今年は夏服のバリエーションに余裕がある。少し大きめのシルエットやこれまで着なかったような生地感のシャツを敢えて選んでみたので、着ていると新鮮で少し日々が楽しくなる。暑くなりつつはあるけど、まだカラッと空気は乾いていて風が吹き抜けると気持ち良い季節。
  • スライドを作ったり、幹事・裏方業を今のうちにたくさん回しておく。これから査読や出張がやってくるので貯金を作る。

2022/06/01 (Wed.)

  • 6月になった。年々時が経つのが速くなっているように感じられる。一日作業して家に帰っては精根尽き果てて、一晩寝て回復して、を繰り返していると、遅々として仕事が進んでいる感じがしなくて、本当にこのままで良いのだろうか、と思ってしまうタイミングがある。それでも自分の道を信じて気長にやり続けるしかない。