Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.

2021/06/29 (Tue.)

  • 査読5本目。査読を1本仕上げると達成感で一日の残りは何もしなくてもいいかな、という気分になる。あと2本。
  • 査読やスライド作成に先週あたりから追われ始めてから、宝石の煌めきというボードゲームに現実逃避するようになった。1週間で良い戦略を理解しつつあって、勝率が格段に良くなってきてレートが上昇している。代わりにスライドの進捗を犠牲にしている。今週がたぶんタスクの1つの山場になりそうだ。

2021/06/28 (Mon.)

  • 週末に面接があったので京都に来た。オフライン面接は3年前のACT-Iの面接ぶりな気がする。あのときの面接の受け答えは相当に酷かったので、落ちるのを完全に覚悟していたけれど、実は通っていたことに相当に驚いた記憶がある。勝ちに不思議の勝ちあり、というやつだ。
  • 今回の面接はどうだろうか。久しぶりということで特に時間キープなど慣れないことが多く、なんども未熟さを露呈してしまった場面はたくさんあるように思う。正直なところ、尋常でない高倍率な書類選考を通過した時点で驚いているので、面接はもう気に入られたかどうかでしかないし、あまり結果も気にしないことにする。

2021/06/24 (Thu.)

  • まる3ヶ月ぶりに友人とビールを飲んだ。3ヶ月ぶりにバーで飲んだクラフトビールの味は期待以上にビビッドだった。どうしたって店飲みには敵わない。8時で強制閉店するのが奇妙な感じだが、こればかりは仕方のないこと。
  • 閉店後にも自宅で少し話を続けた。話の流れで半年前に先輩と話した「ナショナリズムはなぜ生じるか」という話になった。適当に話していたにもかかわらず、「人間は言語やコンテクストの壁を超えて共感したい/してほしいのでは」「共感は相手の中に自分と相似する部分を見出すことなので、自傷行為が不義である前提の下で自己防衛になりえるのでは」みたいな面白い結論に至った。自分一人では到達できなかった視点だ。
  • 3ヶ月ぶりの外飲みの場所にはTokyo Butchersを選んだ。2年少し前に出来たブルワリー併設のバー&カフェで、前から通りすがるたびに気になっていたけれど念願叶って訪れることができた。店内のスペースにもゆとりがあって良い。まだまだ気軽に飲める状況ではないけれど、節度を守りながらガス抜きをしていくしかない。

2021/06/23 (Wed.)

  • 平野・将積訳「わが闘争(下)」を読了。上巻を読了したのが昨年の10月であり、8ヶ月越しに読み終えた。1918年から1925年の、戦後直後のドイツから眺めた鬱屈とした風景が眼前に広がる話だった。
  • 上巻にも増して下巻では優生思想が色濃く現れている。「文化・民族の分解酵素」「拝金主義」「議会制民主主義の直接の利益者」と、続けざまに攻撃が加えられる。自分も現代の議会制民主主義や資本主義には多大な問題が山積されているとは思うけれど、どうしてもそれを民族主義に結びつけるのに十分な根拠を持つことができない。ヒトラーのこの思想は一種のスケープゴートに近い信念なのだろうか。
  • 一方で、大衆心理とその操作における考察が鋭い。そういえば何年も昔に友人が「ヒトラーは民衆の疲労が蓄積していて演説内容を素のまま受け取りやすい夕方に演説することを好んでいた」という話をしていたのを思い出したが、その通りの記述があった。
  • ここ1年ほどで読んだ本を通して、19世紀から20世紀初頭の歴史観のピースが次第に密に繋がってきた。手元には第一次世界大戦の本があるので、次はそれを読みたい。他には1920年から1950年頃の歴史と、遡るが17世紀の三十年戦争からその後のイギリスでのクロムウェル・ピューリタン革命あたりの歴史も追いたい。

2021/06/22 (Tue.)

  • 緊急事態宣言が明けて、2ヶ月ぶりに研究室に行った。同僚の顔を久しぶりに見れてよかった。
  • 統数研セミナーの今泉さんの回を覗いた。深層学習の理論研究は数学的に難しくて同時に科学的意義が大きく、多方面から注目されるので、研究者としてはとてもやりがいがあるんだろうなあといつも少し羨ましくなる。傍から言うのは簡単だけれど、世界で同時発展している研究分野で相互に切磋琢磨・競争するのは励みになりそう。
  • そういう意味では、我々がやっているcontrastive learningの話も結構近い既存研究が先週末にarXivに上がっていたので競争的ではある。Contrastive learning界隈もまだ全くわかっていない現象が多く、実験は言わずもがな理論側も競争性が高く、もしきちんと意味がある結果に辿り着けたらとても嬉しいだろうなと思える。現状は本当に有意味な結果に到達できるのか非常に緊張感が高い状況なのだけれど。

2021/06/21 (Mon.)

  • 週末は知り合いが講演していた最適輸送セミナーを傍聴していた。週末にこういうのに参加するのは最近はあまり気乗りしないけれど、今回は前から講演イベント等でオンラインではすれ違っているものの、一度も会話する機会がなかった京大の佐藤さんと懇親会で話せたのがとても嬉しかった。D1なのに傍から見ていると生産性が尋常でなく、どんな研究生活を送っているのかと思っていたけれど、想像していたよりも人間味の溢れる人だったので親近感が湧いた。

2021/06/18 (Fri.)

  • 作業効率の良い日は自己肯定感が上がる。論文を読んで、共同研究者の証明を追って、査読をして、スライドを作り進めて、散歩して、証明を進めた。
  • ここ1ヶ月の間で頻繁に上野公園を散歩するようになって、国立博物館の前をよく通りかかるようになってふと、国立博物館に一度も行ったことがないなと思った。上野に5年も住んでいて国立博物館に行ったことがないというのはあまりにも芸がないと思い、突然チケットを予約して散歩した。加えて東大はキャンパスメンバーズなので常設展であれば無料で入れる。今年が学生最後の年なのだから通い詰めるしかない。無料で入れるというのはとても良いもので、今日も30分だけ本館を軽く見て回った。一度で見切らなければいけないというプレッシャーもないので、散歩がてらに適当に見て回れるというのがこの上なく良い。
  • とはいうものの博物館というものには興味があまり持てず、今日もそこまで期待はしていなかったのだけれど、国宝室に今月展示されている寛平御時后宮歌合の巻物は素晴らしかった。10世紀ころの歌合(交互に歌を読み合うゲーム)の巻物なのだが、保存状態が非常に良くてしかもかなの筆運びが頗る美しい。他の展示されている巻物を見てもここまでは目を引かれなかったので、さすが国宝なだけはあって質が高かった。毎月国宝室だけ訪れるというのも良いかもしれない。

2021/06/17 (Thu.)

  • 東大でもワクチンの職域接種が始まるらしい。高齢者へのワクチン接種が開始してから1ヶ月が経ち、思っていたよりもかなり速いペースでワクチン接種が進んでいる。1年以上待ち続けてようやくここまで来た。ワクチンを接種したら少しは人に会いやすくなるだろうか。
  • Contrastive learningの研究が意味のある結果を捻り出せるかどうか、薄氷の上を踏みしめている様相になっている。去年の夏学期にやりかけていたロバストなproper lossは、結局4ヶ月くらい取り組んだ後に諦めてしまったのもあるので、お蔵入りにならないでほしい。今のところは共同研究者の一人ひとりの貢献が相互に不可分に結びついて自分では到達し得なかった面白いところまで来ているように思う。出来たらあと1ヶ月強である程度の輪郭を描き出したいけれど、こういう研究ごとに関する楽観的な見通しの通りに物事が進んだ試しがほとんどない。

2021/06/15 (Tue.)

  • Strongly proper lossという概念を見つけた。Strictly proper lossに比べてあまり有名ではなく、Shivani Agarwal周辺でだけ知られているみたい。基本的にはBayes riskがstrongly concaveであることが必要十分で、嬉しさとしてはCPE推定量のL1距離をそのままstrongly convex boundで抑えにいけるところ。明らかにstrongly proper lossの方が嬉しいのだけれど、逆にstrictly but not strongly concaveなBayes riskはあり得るのか気になった。一般的な損失関数は皆strongly properだし、コンパクトな定義域上の関数でstrictly but not strongly concaveなものは意外とあり得ないのではないか。もしそうであれば、我々の議論は全てstrongly proper lossで行えば良いことになってしまう。
  • Proper loss周りの話は気になることが多い。Strictly (?) propernessを仮定した時点でsqrt classification regretが達成できる下限であるかどうかはきちんと知られていないはずだし、この辺は明らかになれば大きな貢献になると思う。

2021/06/14 (Mon.)

  • ついに梅雨入りした。一番嫌な季節だ。
  • 博論の概要を先生に送った。これで博論の執筆が実質開始だ。他の研究をやっている片手間で執筆は果たして順調に進むのか。
  • 意識的にTwitterをブロックして1ヶ月くらい経った。3日に一回見るか見ないかくらいの頻度。見るのを一旦辞められれば、別にタイムラインを見ても特に面白くなくなる。SNSで無駄に心を掻き乱されて気分を落とすくらいならこれでちょうど良いと思う。

2021/06/10 (Thu.)

  • 1ヶ月後に中間発表を控えているので、ついに博論を書き始めた。とりあえずアブストラクトを1ページだけ。先はまだ遠い。
  • 最初に某所から問い合わせがあってから半年ほど続いていた論文修正作業も落ち着きを見せて1ヶ月ほど経った。この件がなくなっただけで精神的にとても楽になったように思う。半年間、頭の片隅にこの件を抱え続ける負荷は並大抵ではなかった。おかげで6月に入ってからはささやかながら日々の生活に満足できていると感じている。

2021/06/09 (Wed.)

  • Contrastive learning boundを導出している際に僕がやっていた計算が、どうやら統計力学でたまに出現するレプリカ計算にとても似ているらしいと教えてもらった。Isingモデルの分配関数を計算するときに、重複する離散状態で括って計算する感じのテクニック。統計力学ではこの手の泥臭い計算テクニックが他にもたくさんあるようで(デルタ関数のフーリエ表示を使った近似計算、レプリカ法による対数の期待値の近似計算など)、教養としても知っておくと面白そう。
  • オンライン雑談で、同僚とたまたま「(CGにおける)『美しさ』とは何か?」という話になって、実は「情報量が少ない事象」が美しいのではないか、という仮説が立った。例えば、平均顔に近い(= 情報量が少ない)顔は一般的に美人と言われがちだし、夕焼けも雲が少なく色のグラデーションも滑らかで高周波成分が少なそう(= 情報量が少ない)。これはかなり面白い気がしていて、HCI/CGの人と機会があったら雑談してみたい。

2021/06/08 (Tue.)

  • 突然蒸し暑くなった。自宅にいても温度計が28度を回っている。この季節がやってきてしまった。
  • 朝活を続けて4週間目になる。作業場所を変えるのは気分転換にとても良い。

2021/06/07 (Mon.)

  • 継続しているcontrastive learning研究、Fenchel’s inequalityやlog-sum inequalityなど自分の知り得るテクニックを総動員してなかなかに面白い結果が得られている気がする。バウンドする際の凸解析の直感が身につきつつあるのを感じて嬉しい。
  • 先週に指導教員とミーティングをして博論の大まかな方向性が定まった。3月に招待講演したときに練り上げたストーリーで面白がってもらえた。自分としても学習理論界隈になかった新たな枠組みを与える視点だと感じている。卒業した後にどれくらい研究を続けられるのか、続けるのかわからないけれど。

2021/06/05 (Sat.)

  • 前から行ってみたいと思っていた中央防波堤に行った。日曜にはバスが1往復しかなく帰ってこれないので、土曜に行く必要がある。本当に都心23区なのかと思ってしまうほどのゴミ集積場、工事現場、更地だらけで、生活感が微塵も感じられないのがなんとも言えない気持ちを掻き立てる。
  • 帰りはお台場からレインボーブリッジを渡って芝浦・高輪まで散歩した。レインボーブリッジを徒歩で渡ってみたいと思っていたので、これも達成した。さらに高輪ゲートウェイ駅も初めて利用した。山手線で利用したことのない駅(改札を通ったことがない駅)はこれで残すところ巣鴨だけか。五反田も学部時代に一度だけ(確か昭和医科大学に行くときに)慌ただしく池上線に乗り換えただけなのでほとんど印象はないのだけれど。

2021/06/04 (Fri.)

  • ミーティングを3件こなした。やりきった感が強い。元々ミーティングで疲労感が溜まるのに加えて、オンラインで画面を凝視しているのが拍車をかけている。
  • 雨模様の一日。湿度が高くてやる気が吸い取られる。今日はミーティングをこなしたのでこれで終わり。

2021/06/02 (Wed.)

  • 最近同僚が研究で使っていたり、今日聴講したセミナーでも偶然登場したりで、圏論に対する興味が少しずつ湧いている。学部生の頃から「圏論」という単語を聞くたびに逃げ惑ってきたけれど、ここに来て巡りまわってきた。研究の空き時間で趣味として勉強してみるのは良いかもしれない。

2021/06/01 (Tue.)

  • 6月になった。2週間前に引き続き学生相談所に顔を出した。2週間前よりはだいぶ良くなっているので、相談所に顔を出して良いのかどうかよくわからない。漠然とした不安はあるけれど、別に鬱病ではないのではないだろうか。
  • 引き続き進めているcontrastive learningの研究で、証明が手元で一つ回った。本質的には難しい話ではないけれど多項定理や多重指数で数式を綺麗にしながらきちんと計算を終えるのに1週間かかった。自己満足度は高い。
  • 昨晩は一気に桜木「砂上」の200数十ページを読み終えた。久しぶりに小説を読んだ。創作の苦しみ、四十路を回った人生の先行きの見通せなさ、そういう暗い雰囲気にリアリティがあって惹き込まれた。