Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.

2021/07/30 (Fri.)

  • ひょんなことからセットアップされた佐倉先生との雑談会だった。思えばこういう風に大学教員に気軽に問い合わせてディスカッションするのは学生の特権なわけで、長きにわたる学生生活も終わろうとしている終盤でこういうことができてよかった。
  • 我流だけでいっても周囲は話を聞いてくれないので、結局大衆受けする努力は必要になってしまう。大事な諫言かもしれない。
  • 研究の方は中間発表が終わった後は思わしくない。数日前に順調だとか言ったがそれは気のせいだった。2週間近く明けても暮れても悶々と悩み続けている。研究はこういうふうに一筋縄にいかない時間が長いのはわかっているけれど、それ故にこのまま研究を続ける精神力が保てるのかという不安感はいつになっても拭いきれない。

2021/07/27 (Tue.)

  • 5年間ほど研究室でずっと隣の席だった(ここ2年は自分がアメリカに行っていたりコロナになったりでそうでもないが)同僚の博論発表を傍聴した。もう5年も経つのかと思うと本当に時間は早い。彼とは大学院生活を通してずっと議論してきたしそれが当然だと思っていたけれど、立ち止まって考えると後生これほどまでに気軽に深く議論できる相手が半径0メートルにいる環境はもう有り得ないだろうし、筆舌に尽くしがたいほど貴重な環境だったんだなと思う。自分の博論審査もあと半年もしないうちにやってくる。もう博士課程も大詰めだ。

2021/07/26 (Mon.)

  • 連休中にはワクチンの1回目の接種を終えた。連休後半は微妙な腕の痛みと頭痛がしていたけれど、取り立ててしんどいというほどでもないという程度の副反応だった。部屋でおとなしく本を読んだりドラマを見たりしていた。
  • そういうわけで時間に余裕があったので、先日に引き続いてプラトン「国家」の下巻を読み終えて、エンゲルス「空想から科学へ」を読み始めた。気づいたら今年は既に19冊読んでいるらしい。「社会学史」「物質と記憶」「我が闘争」あたりの重めの本も読んでいる割には調子の良いペースだ。まだまだ読みたい古典はたくさんあるし、連休中にも何冊か読みたいと思っていた本を買った(オルテガとかポアンカレとか)ので楽しみだ。

2021/07/22 (Thu.)

  • ショーペンハウアー「幸福について」(橋本訳)を読み終えた。その厭世観に見ものがあるとぼんやり聞いていたのでショーペンハウアーは気になっていた。邦訳が良いのか、はたまた随筆調のおかげか、非常に読みやすくて5日で読み終えてしまった。内容にも共感できることが多く、「幸福とは死んでいるよりはましの状態」「苦痛は『困窮』と『退屈』に大別される」「享楽が消極的なのに対して苦痛は積極的」など、自分がぼんやりと思っていたことをずばり言い当ててくれている。一方でともすれば優生思想に陥りかねない節も見受けられ、これは19世紀の西洋の思想家に普遍的に見られる価値観なのかもしれない。ついでに、原題は「処世術箴言」だったところを「幸福について」と訳し変えているのは大胆だと思った。邦題の方が売れそうだとは思うが、個人的には原題に忠実であってほしいという気持ちが少しあった。
  • 長らくマーキングしていたハンモックカフェCafe ASANにようやく行けた。昔はいつ通りがかっても満席で諦めていたけれど、コロナ禍の影響か待ち無しで入れた。話題のスフレパンケーキは生クリーム部分が(自分の胃袋にとっては)非常に重たかった一方で、スフレ部分の卵風味の良さに驚かされた。もしプレーンかつクリーム抜きが出来るならそれが一番良いかもしれない。

2021/07/21 (Wed.)

  • 景気づけに良い食べ物を買いたいと思い、鯵と高級食パンを買った。鯵は早速(はじめての)三枚おろしに挑戦してアジフライにした。鰯をはじめて捌いたときもそうだったけれど、魚捌きは複雑なイメージとは裏腹にやってみると意外とそこまで複雑ではなかった。ペリペリと骨から身を剥がす工程が気持ちいい。中骨は後日あら汁にでもしてみようと思う。

2021/07/20 (Tue.)

  • 暑すぎて日中は部屋に引きこもっている。いよいよ夏本番だ。
  • 去年の今頃の日記を見返すと、今年AISTATSに通った自分の論文で迷走している様子が思い返される。あのときは迷走のおかげでロバスト統計などの周辺分野を勉強する機会になったので悪くはなかったけれど、数ヶ月経っても研究の方向性がまとまらない故の焦燥感はあった。それに比べると今のcontrastive learningの研究はかなりまとまりつつあって、残すところはどうやって論文の形に落とし込むかだけ。論文の形に落とし込むにはそれなりのエフォートを要するけれど、研究の方向性が見えない状況よりは遥かに良い。
  • 人間の「理解」とはどのようなプロセスのことを言うのか、朝方にぼんやりと考えていた。例えば、理系の人間なら三角関数を見ただけでわかった気になるけれど、その「わかった」というのは実は不確かなものに思える。三角関数は勿論四則演算や多項式関数で表せないけれど、歴史的経緯からその性質がよく調べられているから、我々は三角関数を「わかった」つもりになっている。所謂「初等関数」だとか「閉形式 (closed-form)」も同じ話だ。そもそも閉形式の定義自体が「四則演算と初等関数とその合成で表せる形」という曖昧なものであり、我々がそれらの性質をよく理解しているつもりになっているからこその定義である。初等関数でない関数、例えばランベルトのW関数などを挙げてみれば、我々はあまり「わからない」気になる。けれどW関数も良い性質を持っているが故にそれなりに調べられており、一般の有象無象の関数に比べれば「わかっている」。
  • 結局のところ、我々が「理解」している事柄は「既知であることを合意した知識の集合」を組み合わせて推論・演繹できる主張ないし命題、とでもさしずめ言えるのではないか。この結論はおそらくカントの言うアポステリオリな総合判断とも言える(はず)。人類知のレベルで言えばアプリオリな総合判断が大事になってくるのだろうが、個人が「理解」出来たかどうかというのはその個人が既知であることを合意できるかどうかにかかっているように思える。ここには「理解」すればするほど知識をブラックボックス化しているという矛盾があるのではないだろうか。

2021/07/19 (Mon.)

  • 週明け一番でとても大きな吉報が入ってきた。この上なく幸先が良い。嬉しいので何か自分にご褒美を買いたいと思ったけれど、意外と欲しい物もなく、結局まい泉のカツサンドを買った。消費が下手すぎて自分で可笑しくなってしまった。

2021/07/17 (Sat.)

  • 板谷「日本人のための第一次世界大戦史」を読み終えた。足掛け3週間。普仏戦争頃から第一次世界大戦までのおおよそ50年の間の、経済、軍事、産業など多方面からの国際関係を詳細に記述しながら、第一次世界大戦にどのように至ったのか、戦況がどのように推移していったのかを描き出した本。高校の世界史も理系だった関係で第一次世界大戦の手前までしか授業で扱わなかったのもあり、ここまで仔細に第一次世界大戦について学んだのは初めてでとても楽しかった。戦時中の戦線がどこにあったのかさえもちゃんと知らなかった。
  • 現時点で今年は平均月2冊のペース。まだまだ読みたい本がたくさんあるけれど、このペースだと年間24冊。10年続けて240冊。42年続けて1000冊。そう考えると読める本は全然多くないわけだから、理想的には無節操に読むのではなくて優先度をつけて本を選んだりしたほうが良いのかもしれないが、それも変な感じがする。

2021/07/16 (Fri.)

  • 関東で梅雨明けが発表されたらしい。向こう一週間の天気を見ると最高気温33〜34度くらいで推移している。確か3年前(既に3年前!)にストックホルムから帰ってきたのがちょうどこの時期で、成田に降り立った瞬間の湿度と暑さに耐えられなかった記憶があり、そのときの気温が35度を優に超えていたはずなので、意外と今年はまだマイルドなのかもしれない。
  • ストックホルムに行ったときにはまだスウェーデンのクラフトビールの美味しさを知らず、スコットランドに行ったときはまだアイラウイスキーを知らず、海外に行けない今思い返すと非常にもどかしくなる。また現地でお酒を嗜める日々が待ち遠しい。

2021/07/15 (Thu.)

  • Contrastive learningプロジェクトのミーティング。自分の計算に致命的なミスがあることがミーティング中に発覚してとても焦ったけど、とりあえずなんとかまとめる方向性が見えてきた。いよいよ実験と執筆に取りかかれるのではないだろうか。
  • アメリカの大統領が変わっただけであっという間にG20で法人税最低税率合意に達成したのを見たりすると、政治は案外ボトルネックが解消されればすぐに動くものだと思うと同時に、これで本当に民主主義的な成熟した議論に基づいた政策決定になっているのかよくわからなくなる。自分としては依然として間接民主主義を手放しに受容する態度は取れそうにない。

2021/07/14 (Wed.)

  • 中間発表を終えて一山乗り越えた。発表時間が非常に制約されている中では比較的健闘した方ではないだろうかと感じる。10回程度は練習した気がするし、やはり発表練習はとても重要であることを感じさせられる。
  • これでひとまず一歩先に進むことができる。これから2ヶ月の夏休みの間に自分がやるべきことを軽くだけ整理すると、インターン、招待講演と勉強会の準備(どちらも9月)、論文執筆(9月末頃まで)、そして博論執筆だろうか。適度にガス抜きしながら全て乗り切りたい。
  • 自分をねぎらうのは非常に大事なので、今日の夕方はほとんど本を読んだり昼寝をして休んで、さらにウイスキーを買ってきた。忘れられないアードベッグを見つけたので即決。吉池は洋酒の品揃えが良く、商品棚を眺めるだけで楽しい。アクアヴィットまで置いてあったので、絶対に今度は試したい。

2021/07/13 (Tue.)

  • 東京に戻ってきた。京都駅のプラットホームに立つと京都を離れる物寂しさを感じた一方で、東京駅の新幹線乗り場に降りるとまるで昨日出発したばかりのような不思議な感覚に襲われる。歳を重ねるごとに、自分の中での時間感覚がますます覚束なくなりつつある。
  • 帰ってきて郵便受けに案の定ワクチン接種券が入っていたので、自治体の接種予約を試してみたら意外とあっさり取れてしまった。来週摂取できることになったようだ。
  • 正規分布の妥当性に関する歴史評価の論文を見かけたので斜め読みした。大筋としては、3世紀の歴史の中で幾多の科学者が異なる文脈で何度も正規分布を再発見してきたことを紹介している。シャノンによるエントロピー最大化原理としての正規分布の導出は2年前に情報理論勉強会をやったときに見ていた。それ以外の、例えばガウスによる「平均=最尤推定量」原理からの正規分布の導出や、ベルヌーイによる半円状誤差分布の研究(平均が最尤推定量にならない)あたりには、科学哲学の一端を垣間見ることができてとても面白い。

2021/07/12 (Mon.)

  • 週明け一番、面接とセミナー発表を1日で終えた。準備は出来ていたのでさして大変ではなかったけれど、肩の荷の降り方が劇的だ。
  • セミナー発表はできるだけ修士の学生に興味を持ってもらえるように話したつもりだけれど、果たしてどうだったのだろうか。今年に入ってからは再び自分のプレゼンの出来栄えが良くないように感じる(主に準備不足が大きいけれど)のだけれど、今日は悪くはなかったように思う(中間発表向けに多少は練習していたし)。
  • 今回の滞在中、初めてKAMEE COFFEEに立ち寄った。去年の日記を振り返ると、そういえば平日でも昼下がりにKAMEE COFFEEに入り浸っては本を読んでいたことを思い出す。12月といえば、10月にAISTATSの投稿を終え、11月に査読を終え、灰になったあとの束の間の時間だったと思う。あのときはagnostic learningの本を読んだり、マルクスやマキアヴェリを読んだり、今から考えれば心にとてもゆとりがあったように記憶している。ああいう時間は振り返ると良かったし、これからそんなゆとりのある時間がどれくらい持てるのかと思いを巡らせたりすると、先行きの見通せなさに不安になったりもする。

2021/07/09 (Fri.)

  • 今日は葛野大路のスタバで作業した。中間発表の練習をしたり、研究の細かい計算をやったりした。こなした作業量はそれほど悪くない。
  • 作業量をこなしても目標とする締切までに結果を出せるかどうかは別で、もやもやと不安がある。夏休みもやりたいことを取りこぼさないように計画を立てたら過密気味なスケジュールになっている。そして何よりも来週前半は立て続けに3つもプレゼンがある。やっていけるのかどうか心許ない。
  • 今考えても仕方ないので、来週のことは来週の自分に任せることにする。週末は気にせずに美味しいものを食べて、出来たらビールかウイスキーを飲んでのんびり過ごしたい。

2021/07/08 (Thu.)

  • 雨で部屋に籠もっている中、なんとかやる気を出して博論中間発表の練習をこなしたり、研究ミーティングを終えた。ダメでもいいからとりあえず手を動かすのは大切だ。
  • プロジェクトメンバーとの議論のおかげで、contrastive learningの研究が次第にまとまりつつあるように思う。一人で黙々と研究していると、ともすれば「本当に自分がやっていることに意味はあるのだろうか」という気持ちに陥ってしまいがちだけど、人と話すと自分のやっていることの方向性や意義が見えてくるようになる。今更だけれど、本当に言うまでもなく人と喋ることは肝要だ。
  • 少しだけ頑張った自分をねぎらう意味でも、久しぶりにBefore 9に来た。最後に来たのは去年の12月だっただろうか。ふらっと立ち寄って飲みやすい雰囲気と、烏丸御池というロケーションの良さから、これで来るのもたぶん3回目な気がする。東京はまた緊急事態宣言が発出されるようだし、こっちで飲みためてから帰りたい。

2021/07/07 (Wed.)

  • 本格的な梅雨模様になってきた。数日強い雨が続くようで外出もままらなさそう。一日中部屋に留まっていることにもうこれ以上耐えられない。2ヶ月ぶりくらいに昼から横になってYouTubeを見たりしていた。これだから梅雨は嫌いだ。

2021/07/06 (Tue.)

  • 少しタイトなlower boundが導出できた。あまり気乗りしないときに、こうやって手を動かすだけで生まれる進捗が得られるのは良い。
  • 就活や博論など様々な重要なイベントがひたひたと近づきつつあってそわそわしている。
  • 7月なのでレモンサワーをがぶ飲みしたい。レモンサワーをがぶ飲みできる店に行きたい。

2021/07/05 (Mon.)

  • Contrastive learning、証明中の計算で組合せの数をきちんと評価する必要があって、文献を眺めていたらロシア語の文献に目的の計算が載っていた。基本的にはGoogle翻訳にかけて読んだけれど、ギリシア・ラテン語由来の単語であればキリル文字さえ読めれば意味を推測できることも多いので、思ったよりは意味がわかったりする。
  • この研究、どう進めればいいのかだんだんわからなくなってきた。熱いうちに鉄を打たないと落としどころがわからなくなってしまう。
  • 週末にいつものメンバーと雑談していたらなんと佐倉先生とカジュアル雑談することになってしまった。成り行きとスピード感がすごい。

2021/07/01 (Thu.)

  • 査読7本終了。気合で1週間で終わらせた。よく頑張った自分。
  • 7月になった。相変わらず代わり映えのしない日々ではあるけれど、ワクチン接種が次第に近づいてきて出口が見えつつある。大学の職域接種も明日から予約できるらしい。今年の後半、例えばIBISなど、国内でいいから学会に出かけたりできると嬉しいのだけれど、どうなるのだろうか。
  • 代わり映えのしない日々の中で、食が数少ない気分転換になっている。一昨日は鴨そば、昨日は鮎の塩焼きを作った。とりわけ鮎の塩焼きの焼き加減は会心の出来でとても嬉しかった。