Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.

2022/11/30 (Wed.)

  • 翻訳案件の今月のミーティングをなんとか終えた。どっと肩の荷が下りて脱力。近衛通の方までランチをしにいったり、鴨川デルタまで散歩して論文を読んだり、タツヒトサトイでケーキ食べたりして、解放感に浸っていた。どれだけこの件が重責としてのしかかっていることやら。本質的にプロジェクトが進んでいないことに変わりはないので、問題を先延ばしにしているに過ぎないのだけれども。
  • Proper lossの研究の原稿ファイルをとりあえず作って、関連研究を書き始めたりした。今回は今まで自分がやってきた損失関数の文献だけでなく、それなりに半世紀前の数学の文献を当たったりしていたので、いざ関連研究を書き出してみると半世紀前の研究をどのように受けて着想に至ったかというのを説明するのに充実感と達成感がある。きちんと昔の研究を踏まえた研究になっているし、ある種の「芸術性」もある研究だと思っているので、書き上げるのが楽しみだ。細かい証明は問題なく詰められるだろうか。

2022/11/29 (Tue.)

  • 翻訳案件、なぜ僕だけが中間管理業務を一手に担わないといけないのだろうか。結局原稿を一通り読んで全体の現状を把握し、修正の方針をまとめて議事録を作成するのに半日は費やした。僕だって忙しいのに、「本案件にエフォートを避けないくらい多忙です」という顔をしてサイレントで押し付けてくるのは納得ができない。とりあえず、今後は大人数プロジェクトを引き受けるときは、引き受ける前にメンバーの仕事の線引きを明確にしてそれ以上のことを引き受けないように明文化しようと固く心に決めた。

2022/11/28 (Mon.)

  • 昨日、久しぶり (2022/01/23) にスタジオに行って、サックスを練習した。年明けに3年ぶりくらいにJJRSのライブがあるということで、そもそもバンドに乗るかどうかかなり悩んだが、こういう機会でもないと本当に楽器が物理的にお蔵入りしてしまいそうなのが嫌だったので、頑張ることにした。練習が久しぶりすぎて何からやればいいかすらもわからなかったけれども、ひたすらロングトーンやクレッシェンド・デクレッシェンド、分散和音の練習に終始した。最初はピッチを合わせるのすらもままならなかったが、なんとか音らしき音は鳴るようになってきた。
  • この1ヶ月ほどイベントや学会等の仕事で忙しくてあまり研究の進捗を出せていなかったが、先月から悩み続けていた (2022/10/25)modulus of convexity/smoothnessの多項式評価に光明が差してきた気がする。多項式評価自体は素朴にやってしまうと(今考えているのは確率単体=コンパクト集合上の関数なので)適当な係数をかけて何次の評価でもできてしまうけれども、上下界がある意味で最もタイトになるような次数を考えると、どうやらそれがSimonenko indexに一致するようだ。この結果はきっとかなり面白い。細部まで計算して検証する必要はあるけれど正当そうに見える。この研究のラストピースがはまったのではないだろうか。論文の締切まであと2ヶ月半なので、細かい計算と証明をしながら原稿を埋めていく残り時間としては悪くないだろう。

2022/11/25 (Fri.)

  • 出張から帰ってきて昨日の夜にジムに行って、今までやったことのないウェイトトレーニングにはじめて手を出してみた。おかげで今日は大胸筋の筋肉痛が結構残っている。普段使わない筋肉を使うとすぐに筋肉痛になる。
  • 査読を終わらせて、頭の中で今年度中にやる必要のある仕事を整理していたら、まだなんとかなりそうな気がしてきた。とりあえず年内に翻訳と講演準備、そして自分の研究にある程度ケリをつけられれば良さそう。というわけで一にも二にもまず自分の研究をやる。今日も2時間ほど手を動かしただけだが、Lampertiの不等式やKaramataの不等式を理解した。

2022/11/24 (Thu.)

  • Sanjeevとコーヒーを飲んで、日本を離れる前の最後の挨拶をした。1時間くらいだったけれども、Sanjeevの研究に対する考え方とか、最近の研究スタイルを聞くことができた。イベントのホストはそれなりに大変だったけれども、この短期間で信頼関係を築けてこうやって話をできるようになったということはささやかながらに嬉しいことではある。やってよかった。
  • IBISのときに酒の席で喋っていたことを未だに反芻している。論理的であることは絶対なのか。論文を書くときは論理的でなければ効率的にコミュニケーションを成立させることができないので、論理的である必要がある。しかし論理的であることはある種の「precision」を上げる行為であって、論理的であること以外の価値に対する「recall」は必ずしも上がるものではない。トートロジカルではあるが、論理的であることだけが唯一の価値ではないのだという気持ちが堂々巡りしている。

2022/11/23 (Wed.)

  • 急遽家族のところへ駆けつけて少し家事をしてきた。今月頭 (2022/11/02)ぶり。家事をしながらぼんやりと考え事をしていた。ここ数日は様々な人と喋ったので、自分との考え方や感じ方の違いをたくさん体で感じてきて、ふと一人になると自分の思考の芯のなさだったり、後ろ向き加減だったりに対して嫌な気持ちになったりする。前向きに頑張って生きていたり、誠実に人間関係を築いている人たちを見ると、自分がいかに不甲斐ないかを思い知る。(環境要因も少なからず寄与して)悲観的、厭世的な見方で物事を考えがちだし、そもそもこういう考え方をしている時点で他責的で辟易とする。こういうことで悩んでも、結局は自分の中で耐えて咀嚼するしかないのはわかっている。
  • 「仕事の量が怒涛の11月を乗り切れば…」と思っていた当初の仕事はIBISで終わったはずなのだけれども、いつの間にか年度内はみっちりスケジュールが埋まってしまっている。翻訳、海外出張2件、研究会3件、論文締切3件、講演の類が3件。査読もぽんぽんとこなしているはずなのに新しい査読が積まれていく。昨晩ホテルに帰ってひとりで頭の中で整理していたら憂鬱になってきた。ギリギリなんとかなるラインだろうか。少なくとも年度内はもう絶対に仕事を引き受けない。

2022/11/22 (Tue.)

  • IBISの本会議3日を終えた。3日間朝から日がまわりかけるまで久しぶりの人と議論づくしで、喉が嬉しい悲鳴を上げている。ここに書き連ねるにはいま時間も全く足りないが、日野先生や矢野さん、河原さんといった人たちと初めて密に議論を交わすことができて、しかも興味も想像以上に近くて盛り上がった。共同研究のディスカッションも休憩時間に進んだし、新しく興味の湧いてきたこともたくさんあるし、時間が全く足りなさそうなのだけが悲しい。京都に帰ったらやりたい研究がたくさんできてしまった。
  • 会期中に「包は究極的には何がやりたいのか」と聞かれて、少し悩んで、でもおそらく正直な気持ちではそうだろうなと思って「自分の知りたいことを知ること」と答えた。それが自分の中で数日間じわじわと今になって反芻されていて、我ながら正直で良い答えだったのではないかと思っている。知りたいことを知るためには時間を費やすことは厭わないし、そういう種をいくつも見出すことができた。よい学会だった。

2022/11/19 (Sat.)

  • とりあえず今回のIBISでおそらく最も大事な仕事だと思われる若手交流企画のメンターの仕事を終えた。当たり障りなく筋の悪い研究にダメ出しをしつつ建設的な提案をしようと思うと、相当頭をフル回転させる必要がある。それを3時間も続けるのはなかなか体力的に消耗したけれども、それでも少しでもメンティーの学生さんが何か得られたような反応をしていると嬉しくなる。これは自分のエゴでしかないのだけれども。
  • IBIS中にやろうと思っていた査読も今日の午前中に終わらせられたし、明日からは純粋に学会を楽しめる。

2022/11/18 (Fri.)

  • 坂上さんとのミーティング + 「10分」の駒場祭講演を見に東京へ。もう一言では言い尽くせないほど良い一日。「10分」の後輩たちは頑張ってハイブリッドながらも企画を続けていて思わず応援したくなるし、坂上さんとのミーティングは3月のとき (2022/03/23)のときよろしく有意義な議論と情報共有ができて研究の続きが楽しみである。特にここ2日くらい寝ても覚めても布団の中でもproper lossについて考え続けていて、それなりに筋のよさそうなアイデアを思いついて共有できたので、本当に満足。
  • さらにはヒチカケにも行くことが叶った。これも3月の卒業式のときぶり。おたけさんとKeiさんに挨拶できたのだけでも嬉しいし、ラトビアの全く知らないDDH IPAが非常にスムーズでブロンディな飲み口で、良いビールを飲めた。とても良い一日だ。

2022/11/17 (Thu.)

  • 学術変革のチームミーティングで先日採択されたq-entropyの話をした。結構いろいろな人に興味を持ってもらえた感触がある。研究活動は大学院生でもできるけれど、研究「者」活動はポスドク以降の方が自由度が段違いで、これまで個人の力ではできなかったような多様で長期的なコラボレーションが可能になる。学術変革もそのひとつなので、これからどういう化学反応が生まれていくか楽しみである。
  • 今日は一応代休なので、本日のにやってきた。平日の竹屋町通りは人通りは多くないのに素敵なお店がひっそりと軒を連ねていて、歩いているだけで楽しい。
  • 学術変革の発表を終えてから、自分がconvex dualityに興味を持っている理由をぼんやりと考えていた。端的に言えば様々な問題が凸正則化というひとつの枠組みで統一的に扱えるという点にあるわけだけれども、それは逆に言えば本来は多様であるはずの問題の細部を(あるひとつの価値観のもとに)捨象しているとも言える。人間の認知能力は有限である以上は抽象化や一般化は「知の圧縮」として少なくない価値があると思うけれども、それは価値観の導入を避けることはどうしたってできない。多様性を否定するなと言うのは流石にナンセンスだけれども、一方でその点に関しては常に意識的でありたい気もする。

2022/11/16 (Wed.)

  • はじめて桂キャンパスに来た。各クラスターを空中回廊が貫く形のキャンパスになっていて建築様式が非常に独特。少し近未来感を感じてワクワクする。九大伊都キャンパス (2022/09/12)とも似たような、しかしもう少しコンパクトな形のキャンパスになっている。アクセスが多少良ければよりよい環境なのだけれども。
  • プロポーザルの校正から提出、共同研究者との議論のために論文を読んで、講演に出て、ミーティング2件。怒涛の情報量。ギリギリ頭が回っている。

2022/11/15 (Tue.)

  • 急遽リサーチプロポーザルを書くことにしたので、朝から3時間かけて埋めた。3時間で英語のプロポーザル3ページを埋めたのだから、悪くないペースだろう。この間プロポーザルを書いたのはもう白眉応募時 (2021/02/02)のときになるから1年半以上前か。英語のプロポーザルを書くのは初めてだったけれども、結局は最初の数行を書き始めるまでの心理的ハードルで、書き始めてしまえば埋まるものだ。さて、今回はどうなるか。散歩をしてきたら推敲する。

2022/11/14 (Mon.)

  • ゆっくり研究の時間をとれるのは20日ぶり (2022/10/25)くらい。その間を振り返ると、査読、論文の修正、イベント開催などなど。無駄な時間はなかったし、我ながらよくやったと思う。
  • Sanjeevのimplicit regularizationとmirror descentの対応付け論文をもう一度眺めなおした。僕が少々勘違いしていて、どうやらimplicit regularizationを特徴づけるparametrizationをlink functionとみなしてmirror mapが導出できるという関係になっているようだ。Sanjeevとのメールのやり取りからは、彼らがこの事実を陽に利用しているようには見えなかったけれど。また、坂上さんとのディスカッションから自然勾配法の収束証明を追ってみた。思っていたよりも収束証明はかなりシンプルで、本質はproper lossの勾配がlink functionによる双対変数の推定誤差で書けることのようだった。やはりmirror descentはまだまだ知られていない構造がたくさんありそうな気がする。

2022/11/13 (Sun.)

  • 久しぶりに平穏な週末を過ごした。丁寧目に掃除をして、先月の山陰旅行 (2022/10/23)のお土産で買ってきた瓦そばを作って食べたりした。瓦そばは2年前の下関旅行のときに食べそびれたので、そのときのことを思い出しながら。

2022/11/11 (Fri.)

  • 残った共同研究の仕事を消化して、京都に残っていたビジターの相手をしたり。もう少し仕事しないといけないけれども、今週は本当に大きな仕事をこなした。しばらく休みたい気もするけれども、IBISまでもうひと踏ん張り。

2022/11/10 (Thu.)

  • 3日のイベントが全部終わった。結局イベントスタートしてからはほぼメイン一人で運営を回していたので、事故を起こさずに終えられてほっとしているのが何よりも大きい。そしてSanjeevが最先端のトピックでも古典的なトピックでもとてつもない頭の回転の速さで的確にこちらの質問に答えてくれるのに驚いた。日本にいるとどうしてもマネジメントレベルの教授になるとあまり込み入った研究の話ができなくなってくるのがもどかしいと思っていたけれども、これだけキャッチボールできる相手がいるなら十分ディスカッションを楽しめそう。最近ではimplicit regularizationをmirror descentの観点から解釈する仕事もやっていたりして、自分の最近の研究の興味に対して違う角度から重要な情報も得られて収穫が大きい。
  • 東京からも多くの知り合い、友人がやってきてくれて、イベント期間の空き時間に情報交換したりディスカッションしたり。うどんを食べながら思わぬアイデアが出てきたり、最適化のlower boundの話を教えてもらったり。結局こういう会話が学会で一番重要なのだ。

2022/11/08 (Tue.)

  • Sanjeevのセミナーイベントは今日からスタート。朝からセミナー参加者のビジターを迎え入れたり、講義室のテストをしたり、zoomの接続を頑張ったり、既に運営でアドレナリンが出ている状態でトークを聞きながら質疑仕切ってしれっと自分も質問したり。無事に初日を終えたのでほっとしているのと同時に、やっぱり自分はこういうイベントでアドレナリン出て楽しんでしまうタイプなんだなと思った。とても単純な性格。走り出したマラソンは存外に気持ちいい。

2022/11/07 (Mon.)

  • Entropyに論文が採択された!投稿してから (2022/09/18)わずか50日で採択、査読もまあ妥当な感じだったので印象は良い。このネタはq-代数や凸解析、最適輸送、BFGS関連で学ぶことがいろいろあったし、これだけスムーズに採択されて次の研究に移れるのは気持ちいい。

2022/11/06 (Sun.)

  • 友達の結婚式に託つけて、週末を汐留、六本木界隈でゆっくり過ごした。浜離宮でピクニックして、六本木のBricolage breadでパンを買い、森美術館のウェルビーイング展で途方も無いインスタレーションを眺め、ロイヤルパークホテルに泊まったり。時間のゆとりも空間の質もおしなべて高く、「もっとここにいたい」という気持ちが止まらない。正真正銘の非日常にあふれる週末。

2022/11/04 (Fri.)

  • ジャーナルの修正を投稿した。この非常に忙しいタイミングで修正要求が降ってきたのは災難だったがなんとかなった。他の仕事も一応一段落してきた。来週一週間はセミナー運営や来客の対応で時間はなさそう。新しい研究の続きがしたいなあ。
  • 二子玉川での滞在は今日まで。仕事の合間に一人でほぼ丸ひと通りの家事をするのが大変すぎた。明日は友達の結婚式だし、スケジュールが怒涛すぎる。自分がスケジュールから解放されるのはいつなのか。

2022/11/03 (Thu.)

  • 文化の日にお風呂の大掃除をしたので大変文化的だ。どうやったらお風呂をこんなに汚くできるんだ。
  • レビュワーへの返事のために、久方ぶりにサーバーにログインして実験をした。そもそもジョブサーバーの使い方も忘れていて、環境もなぜか壊れていたので、ジョブを投げられるようにするまでに半日ほどかかった。レスポンス期間に実験を終わらせられるか少し懸念があったけれども、なんとか終わらせることができた。これを終えれば今月上旬の山を越えられそうな気がする。
  • 昼すぎに一瞬だけ渋谷に出て友達を呼び出してビールを飲んだ。正直大学に10年もいると自分が研究に没頭している間に世間と乖離していくのが怖いという感覚は常にあるのだが、友達は親切にも自分の最新の研究にも興味をもって、表面的だけでなくちゃんと細部まで理解しようと聞いてくれて、本当にありがたいことだなと思った。

2022/11/02 (Wed.)

  • 今週の生活、なかなか耐えられない。一週間と思えばなんとかなるけれども、仕事を10時間くらいやりつつ三人分の食事を三食ひとりで用意しつつ、空いた時間で部屋の掃除をするのは、正直かなり厳しい。明日は祝日なので、溜まっている仕事の途中に少しくらい息を抜こうか(今日も有休だけれども)。まだ11月ははじまったばかりだけれども、仕事の量が怒涛の11月を乗り切ったら自分に盛大にご褒美をあげたい。

2022/11/01 (Tue.)