Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.

2022/01/31 (Mon.)

  • ようやく論文投稿や書類作業がある程度落ち着いてきた気がする。少しだけ勉強をする余裕もある。久しぶりに測度論の復習をし始めて、改めてσ-加法族の定義の巧妙さを感じる。関数列の収束先の可測性を議論するためにlimsupなどを考えると、収束の定義に含まれる和集合が(ここでは可算な添字集合についてとっているから)可算和になっていて、だからσ-加法性で十分な強さがある。

2022/01/27 (Thu.)

  • 祖母が急逝した。朝方に倒れたという報せを受けてから帰らぬ人となるまで半日しかなかった。身内の不幸は始めてなので気持ちの整理がつかない。本当は20年の4月に南京で開催予定だったワークショップに参加してその足で杭州に寄って顔を出すはずだったのに、ちょうどそのタイミングでコロナのアウトブレイクが始まって渡航ができなくなってしまい、全く感染状況が収まる兆しが見えない中、祖母も結構な高齢になっていたので気にはなっていた。体調が頗る良かったわけではないけれど、それでも決して寝たきりでもなかったわけで、だから言葉は悪いけれどもコロナが収束するまで「保ってほしい」と心のなかで薄く思っていた。普通に考えれば何が起こってもおかしくない歳なのだけれども、ついにどこかで恐れていた日が現実になってしまったのか。
  • 最後に実家に帰ったのがもう5年前なので、結局最後の5年間は顔を合わせることが出来ず仕舞いになってしまった、このことが本当に心残りでしかない。コロナで海外渡航できない想定外の不可抗力があったことを鑑みると、もう本当にただただ、会えるときに会いたい人間にたくさん会っておかなければならない、という重い教訓だけが残される。自分の肉親に5年も会えないまま他界してしまった母親のことを思うとやるせない気持ちになる。
  • 報せを受け取っても文字通り海の向こうの話だし、何の実感も湧かなくて、心さえ動かされない自分の感傷性のなさが怖かった。けれども、親しい人と喋ったり、こうやって書いているとうっすらと涙が滲んできて、人間として最低限これくらいの心は持ち合わせているのかと思えた、そのこと自体にも違和感を感じる。

2022/01/26 (Wed.)

  • 論文修正になかなか気乗りしない日が数日続いていたが、なんとか手を動かして最低限の修正を行った。手を動かして式を書く、TeXを書く。手が動いていることは大事だ。
  • 自分たちの論文は事故って落ちる。博士の後輩は半年考えていた研究の方向性の筋があまり良くなさそうなことに気づく。修士の後輩はどこから研究に手を付ければわからず悩んでいる。研究とはまあかくも苦しい道のりが続くものだ。それでもまだ知りたい、明らかにしたいことがある。自分の気持ちが折れない限りは続けていたい。

2022/01/25 (Tue.)

  • ICLR落ちした論文、考えれば考えるほど再投稿する際のconcurrent workとの貢献の差がmarginalで厳しい気持ちになってくる。まさかこんな半年で貢献が酷似した論文が並ぶとは、そして自分たちの論文だけが落ちるとは思わなかった。再投稿まであと3日、どうにかなるのだろうか。なんなら博論発表よりも厳しい締切を迎えるかもしれない。

2022/01/23 (Sun.)

  • 朝起きて、友だちに勧められた初心者向け投資解説ブログを読んだ。これが頗る参考になって、自分もなんとなく長期分散投資で薄く利潤を出すのが良いんじゃないかと思っていたんだけど、そのバックグラウンドとなる根拠がきれいに言語化されていて、納得感を持てた。
  • お昼は2019年の映画「家族を想うとき」を観た。一家四人の住宅ローンを組むために妻の自家用車を売り払って配送ドライバーを始めた父親の物語で、次々と襲いくる理不尽な不幸と、その中でも懸命に家族を大事にしようとする姿に、感傷的にならずにはいられなかった。こういう人っておそらく非常にありふれた一家族であって、こんなセーフティネットもない社会に薄ら絶望するし、自分がひとかけらでも改善するために何か貢献できないものだろうかと真剣に考え込んでしまう。
  • 午後は数年ぶりにスタジオ個人練入りして、友達の友達のアニメーター(僕は面識がない)に依頼されたピアノ曲を弾いている姿の参考資料を撮って送った。アニメ業界だって薄利の中で懸命に頑張っているのは重々承知だし、これくらいのことで貢献できるのならいくらでもしたい。ついでに数年ぶりにサックスを吹いた。思ったよりは音が出て吹けた感覚だったにもかかわらず、録音してみるとあまりにも酷くて萎えてしまった。まあ今日は自分がどれくらい吹けなくなったかを認識する貴重な機会だったということで肯定的に捉えることにする。京都に移ったら週一でもいいからコンスタントに練習したい。
  • 同時に思い出した。楽器をやっていた時期になぜあれほどまでに自由な時間がなかったのか。楽器の練習は非常に時間がかかる。1時間や2時間練習しただけで自分の現状に全く満足できない。加えてバンドで合わせたりもするし、前後の移動時間もなかなか馬鹿にならない。そうこう計算していると平気で半日以上費やしてしまうので、平日で消耗した体力を回復する時間も考えたりすると休日はなくなってしまう。学部時代にいかに時間がなかったのか、ありありと思い出してきた。
  • 夜は研究室時代にお世話になった先輩を呼び出して感謝の言葉を伝えたり思い出話をした。コロナ振りに会ったもので、東京を離れる前に挨拶ができて一つ心残りが解消できた。
  • こう振り返ると非常に文化的に生産的な一日だった。大きな充実感を感じている。毎週これをやっていたら体力が足りないけれども、たまにはこんな休日を意識的に作りたいものだ。

2022/01/22 (Sat.)

  • 東大の総合文化研究科の方の大学院生の学生団体が企画したオンラインイベントを覗いていた。こうやって研究者の話がカジュアルに聞けるのってとても良い。特に印象に残った言葉は、「社会科学は社会構造の理論化を通じて自己責任論から解放することに意義がある」という話。これ自体は賛否両論間違いなくあり得るのだけれども、自分にとって考え方が斬新だった。

2022/01/21 (Fri.)

  • ICLRに投げていた論文は落ちてしまった。高をくくってたのは否めないけれども、査読スコア8/8/6/6/6だったし概ね査読者もポジティブな反応だったので、正直あまり落ちるとは思っていなかった。まあこればかりはもうどうしようもない。再投稿するしかないけれども、先行きが不安である気持ちは偽れない。
  • 大相撲一月場所、初の両国国技館に入った!東京にいると別に特に両国国技館に行こうとも思わないけれども、東京をいざ離れると思ったときの名残惜しさのパワー。勢いで一月場所の席を抑えて、一日大相撲を観ていた。正直相撲なんて欠片も興味はなかったのだけれども、一日観続けているとやっぱり幕内力士のレベルの高さには舌を巻いてしまうし、そもそもあの体躯の力士にもかかわらず俊敏さやしなやかさがあって驚く。ライブで観るときの観客の一体感や熱気は、決してコロナになって歓声を自粛している中でも失われていない。これは現地で味わうしかない醍醐味だと思う。行って全く後悔していない。

2022/01/19 (Wed.)

  • AISTATSに論文が通った。これがもう2020年の5月から投稿を始めてNeurIPS2020、ICML2021、NeurIPS2021で落ち続けて4回目でようやく通った。今回も最終的にはボーダーラインだったみたいだ。学術的好奇心の観点からはこの話をちゃんと解いているのはとても面白いと思うのだけれど、どうしてもプラグマティズムの観点からは評価されにくい。何の役に立つのか、と。いずれにせよ査読者も説得できない程度ではやはり面白さを心の底から伝えきれていないのだろうとも思うし、まだまだ頑張らないといけないんだろうなと思う。ひとまずは安心。

2022/01/18 (Tue.)

  • 10日ほどかけて昨日レヴィ=ストロース『野生の思考』を読み終えた。これがまた本当によい一冊だった。文化人類学を何も知らない自分にとってはそもそも何をする学問なのかが新鮮だし、構造主義的な着眼点自体が背景知識がなかったとしても面白い。差異と変換によって多様性と統一性、共時性と通時性の矛盾を相克すると。10章のサルトル批判やあとがきを読むと、レヴィ=ストロースが現役で生きていたWW2直後の混沌とした世界とその中での西欧のエスノセントリズム、そしてそれに立ち向かい悩むブランスの民俗学者の葛藤が垣間見えて、とても良い。自分もこういうふうな研究者になれたらカッコいいのだが、道はあまりにも果てしなく思われる。
  • 年明けてから水曜日のカンパネラをはじめて知って、作業中にずっと聴いている。中毒性がある。まだまだ新しい音楽に興味が持てていることに安堵する。

2022/01/15 (Sat.)

  • 先日晩ごはんの帰りの別れ際に、ふと後輩に「なんで哲学とかに興味があるのか気になっています」と聞かれて、自分でもなぜだろうと思って考えていた。単純な理由としては純粋な好奇心とか、無知に対する恐怖心が挙げられる。もちろんそれも自分の気持として正しいのだけれど、今朝散歩しているときにもう一つ言語化できたことがある。
  • 我々は普段自分の専門対象を日がな見つめて研究しているわけだけれども、もっとロングスパンで過去の人類の偉大な功績を振り返ってみると、にわかには信じがたいほどの視野の広さに驚かされることがある。卑近な例ではダーウィンの進化論を受けたスペンサーの社会進化論だとか、ソシュールの言語学を受けたヴィトゲンシュタイン言語哲学やレヴィ=ストロースの文化人類学、ユクスキュルの生物学を受けたオルテガの生に対する見方など、偉人たちは想像し難いほどに垣根を超えていく。そうした19世紀、20世紀の彼らを21世紀の我々が振り返ったときに、結局そうした枠にとらわれない思考というのが人類の資産として受け継がれている。そして我々に対して新しい物の見方を与えてくれている。こうした垣根を越えた共通構造というものが果たして客観的に存在する構造なのか、それとも人間の認知機能に適合した「虚構」なのか。自分が到達したい境地、解きたい問題は、この水準の思考に基づく必要があるのではないかと感じつつある。それが、傍目全く自分の研究と関係ないような社会学とか歴史学に最近興味を持っている理由の一つのように思った。

2022/01/13 (Thu.)

  • 博論から解放されてすごく気楽になった。後輩の原稿をおおらかな気持ちで添削できる。
  • 今日のお昼は秋葉さんに誘われて二人でランチをしていた。本当に会うのは3年ぶりくらいだろうか。秋葉さんのキャリア観には前々から惹かれるものがあったのでそういう考え方にまた触れられたのが嬉しいし、ランチの後に一人で帰りながらふと、そういえば10年近く前にオープンキャンパスで初めて秋葉さんに会って感銘を受けたのが自分がそもそも今の分野に進もうと思ったきっかけで、そんな人とこうして10年後に二人でランチをしているのかと思うと感慨深くなってしまった。人生本当に何があるかわからない。

2022/01/12 (Wed.)

  • 博論公聴会終わり!これで博士課程の3年も事実上終わりなのか。今日から好きな研究を好きなようにできるのかと思うと、あまりの解放感の大きさに嬉しくなってしまう。
  • とりあえず今日は飲む。バーに出かけよう。

2022/01/11 (Tue.)

  • 明日で博論から晴れて解放されると思うと待ち遠しくて仕方がない。
  • そういえば週末にANAがタイムセールをやっていたので、2月の女満別までの往復航空券をぱっと買ってしまった。念願の流氷が見れるだろうか。ここ2週間くらい毎日海上保安庁の海氷速報を眺めるのが日課になっている。海氷が樺太から毎日伸びてくるのを眺めるのが楽しいし、よく考えれば樺太から北海道まで「氷続き」になるのが俄に信じられない。

2022/01/10 (Mon.)

  • 博論審査前だけれども、後輩の論文にコメントを必死に返している。2年前のAAAI共著投稿ほどはひどくない(一応締切の2週間前ほどには原稿をもらった)けれど、コメントを入れるのにだいぶ時間を使って三連休は疲弊してしまった。修士で初めての論文投稿だからわからないことも多いのはわかるけれど、文章の論理構成とか行間の広さをいちいち言語化して伝えるので辟易してしまう。さて自分の初めての論文投稿のときはどうだったかと言われると決して褒められたものでもないので、これに関しては自分の苛立ちを噛み殺して粛々とコメントすることを心がけようとしている。けれどもこれをこの後の人生ずっとやっていきたいかと言われると、かなりやりたくない気持ちがある。その観点からはやはり大学にずっといて教育に携わりたくはない。
  • 一方で後進はどこかで誰かが必ず育てている。それは義務教育かもしれないし、大学かもしれないし、会社かもしれない。人材育成コストを嫌って生え抜き人材だけを取ろうとする態度は、社会に対してはどうしても無責任と言わざるを得ない、という気持ちも拭えない。「請われたら教える」態度くらいが良い塩梅なのだろか。

2022/01/08 (Sat.)

  • 友達に誘われて銀座のENOTECAのテイスティングと渋谷のIZAKAYA VINに連れて行ってもらった。ワインは一人だと全く開拓できないのでありがたかった。普段は高々ボトルで3000円のワインくらいしか飲まないので、それ以上のグレードになったときの味の繊細さは言うまでもなく至高だった。自分としてはビールのときと同じようにボディがしっかりしている方が好みで、カヴェルネをはじめとしてシラーやメルローのような甘みがしっかりとした赤ワインやすっきりとした赤ワインが好みなんだな、ということがわかった。
  • 最近はビールにせよコーヒーにせよ、嗜好品は金を詰むほど無尽蔵に質が上がっていくということをよく実感している。やはりこういう業界にはお金を落としていきたいという気持ちが強い。

2022/01/06 (Thu.)

  • 雪が振り始めたお昼頃に友達とランチをしているうちにどんどん雪が積もってきて、帰り際の夕方には目測10cm弱積もっていた。自分の記憶の中で最近印象に残っていた東京の雪は20年3月下旬の桜が既に開花した中での粉雪だったけれど、これだけ積もったのはおそらく14年2月中旬のとき以来じゃないだろうか。あのときは渋谷で飲み会があって、円山町や道玄坂の道が凍ってまともに歩けなかったのを思い出す。
  • そんな中で迎えた27回目の誕生日。2022年も、27歳も、全く実感がわかない。いたずらに流れていく時間に無理やり引っ張られている感覚。今年はどんな年になるだろうか。

2022/01/04 (Tue.)

  • 新年仕事初め。まだ正月で休んでいた反動から抜け出せない感じがあって、あまり手が進まない。地味に博論発表まであと1週間とすこししかないのだけれども、さっさと終わってほしい。

2022/01/02 (Sun.)

  • 友達と二人で真っ昼間から上野で4時間くらい、新年の挨拶をかねてディスカッションをした。今すぐやってみたい研究のアイデアがいくつもある。年末も彼とやりとりしていたときに、temperature scaling(とその一般化)がLegendre変換として見なせることに気づいて、一ネタできそうな予感がしている。ここ最近、Legendre変換回りであまりにも面白い視点が得られすぎていて、本当にワクワクしている。博論発表の準備なんてしている場合じゃない。