Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.

2022/08/31 (Wed.)

  • とても簡易だけれど、必要最低限の数値実験を載せた初稿ができた。途中で数値実験と理論の収束レートが食い違っているのを2回くらいやってしまい、今週前半もその矛盾を解決するために収束レートの仮定をうまく修正するのにあくせくした。おかげさまでというか、様々な状況においてどうやってレートを抑えるか学びはたくさんあった。今回の論文には結局入らなかったテクニックはいくつもあるけれども、将来的にどこかで使えるかもしれないし、勉強になったということで良しとする。
  • 最適化のレートを(見様見真似だけれども)真面目に抑えたのは初めてなので、あまり意識しなかったけれども実はこれまでの研究から一歩踏み出しているといえそうだ。
  • 初稿の仕上げに全力で注力している間に積まれた仕事に戦々恐々としている。9月の前半は発表3件(うち2件は今から発表内容をフルスクラッチしなければならない)とその他原稿チェックが待ち受けている。一旦そちらに注力しなければ。

2022/08/29 (Mon.)

  • ほぼ3週間振りにまともなメンタルで仕事ができた。きちんと頭が動いている状態で仕事ができるのがいかに気持ちの良いことか、この3週間のことを振り返ると切実に感じる。
  • 論文の初稿らしきレベルまでたどり着いた。1ヶ月前に (2022/07/12)「あと1ヶ月くらいでできてくれないかな」と言っていたのが、結局1ヶ月半くらいかかった。まあその間で体調を崩して倒れていたと思えば、思っていたより早く仕上がったと言えるかもしれない。数値実験だけまだ埋めていないので、簡単に埋めれば校正の段階に入れそうだ。

2022/08/27 (Sat.)

  • 3周年記念で予約していた念願の長楽館のアフタヌーンティーに行って、帰り際にたまたま通りがかった京都現代美術館に立ち寄った。祇園四条という立地にありながら全く存在を知らなかったのだけれど、貼られていた吉仲正直の抽象画に妙に惹かれるものがあって、そのまま吸い込まれてしまった。吉仲正直の丹念にハッチングを重ねて新しい色やトーン、ダイナミクス、表現を生み出していくその実直な作風にいたく心を打たれて、来場者が少ないのもあって画板の前で立ち尽くして見とれてしまっていた。美術館全体として館長の梶川芳友氏がどのようなことを考え、感じながら、芸術に向き合って作品を収集してきたかが端々から色濃く感じ取れる空間で、所々に掲載されている梶川氏の言葉が胸に響く。美術館の名前である「何必館」には「学問や芸術における定説を『何ぞ必ずしも』と疑う精神を持ち続けたい」という願いが籠もっていたり、文明に囲まれるに伴って我々の生活から自然が失われていくことへの警鐘、また魯山人の「人はいつ死んでもよいのである」という言葉が、どれもよく身体に沁みる。こんな美術館に出会ったことはこれまでなかったように思うので衝撃だった。
  • 一週間経っても相変わらず全く仕事に身が入らず、そもそも自分にはやはり研究者は向いていないんじゃないかと悩んでいるところでたまたまこの美術館に出会えて、心が救われたような気がする。自分にできることを懸命に頑張ろうと思えた。

2022/08/22 (Mon.)

  • 2週間半振り (2022/08/05)に大学に来た。ひどいお盆休みだった。仕事をする気分ではないけれども、流石に今日くらいは仕事をしないと永遠に戻れなさそうな気がして、もう少しでもよいからと思って原稿を書いた。この原稿もはやく終わらせてしまいたいのに、ずっと負債として抱え続けてしまっている。

2022/08/18 (Thu.)

  • 寝ている間に溜まっていた仕事、主にスライド作成に対して鬱屈とした気分になってしまい、さらに追加で何日か寝込んでいた。今日はスライド2枚だけ作った。気が重い。積まれるタスクに対して非常にメンタルが弱い。

2022/08/15 (Mon.)

  • 喉の痛みも取れつつあって、明日にはほとんど元通り活動ができそうな段階にある気がする。最初に喉の痛みを感じた先週の火曜日から足掛け1週間。とても大変だった。気づいたら仕事がかなり溜まってしまっているので気が重い。明日は体を慣らすために、自宅で無理のない範囲でスライド作成に精を出すか。

2022/08/13 (Sat.)

  • 今日もなかなか快調とはならない。引き続き一日横になっていた。お盆は一気に論文執筆を進めて、残った時間で静かなところに小旅行でもして気分転換しようかと思っていたのに、何日もベッドの上から動かない生活になるとは思わなかった。正確な比較は難しいけれども、物心がついてからは一番ひどい体調の崩し方な気がする(大学一年生のときにバイトの過労で3日寝込んだときが今までで一番ひどかった)。

2022/08/12 (Fri.)

  • 東京出張から帰ってきて2日経つ。出張後半から喉の調子が良くなくて、帰りの新幹線で急激に体調が悪くなって、なんとか自宅にたどり着いたら39度の熱があって、観念した。翌朝からは咳は酷く、最低限の生活に必要な活動もままならなさそうな状況で、出張直後だったのもあってあまり買い置きしている食材がなくて、抗原検査キットもないし、昨日と今日の2日はAmazonからの物資が届くのをずっと待ちながら横になっていた。解熱剤を定期的に服用しても40度までぶり返す熱に耐えながら。
  • ところが、今日の夜にようやく物資が届いたので検査してみたところ、陰性だった。ただなんとなくそんな心当たりもないわけではなくて、出張の移動が長距離(立川から柏の移動をセミナー受講後にやるのは少々厳しい)だったり、食欲がわかなくて飲食を適当に済ませてしまったあたりで、またストレス性胃腸炎を患ったのはありえそうだ。そうだとすれば3ヶ月前 (2022/05/27)に引き続きCOVID関係なく体調を酷く崩してしまったことになる。20代も後半を過ぎてしまい、いよいよ体力の衰えを無理はできないことを思い知らされている。
  • 2日間解熱剤を飲みながらほとんど横になった状態から動かなかったら、症状はだいぶ快方に向かってきた。それでも出張帰りの新幹線時くらいの(あまり芳しくない)体調くらいの状態なので、出張中にもっとこじらせていたとしたらどうなっていただろうと思うとゾッとする。

2022/08/08 (Mon.)

  • 今日から3日間統数研の最適化セミナーに現地参戦。統数研は3年半ぶりくらいだろうか。統数研に通っていた当時は研究が全然うまくいかなくて、立川までの道のりが憂鬱だったものだ。今ならもう少しうまく当時のメンターの先生とうまくやれる気がするけれども。

2022/08/07 (Sun.)

  • しばらく一人暮らしになったのだが、一人になると思った以上になぜか余暇を持て余してしまう。仕方ないので論文を読んだり、計算をしたり、散歩したり、カフェ巡りをしたりした。
  • 今日の散歩ルートは出町から下鴨の左岸を北上して、紫明通を通って北大路まで歩いた。その後は千本今出川のカフェで本を読んだ。賀茂川左岸は思っていたより何もなかったけれども、川沿いをのんびりと意味もなく散歩する時間を久しぶりに持てた。

2022/08/06 (Sat.)

  • 今年も8月6日。77年目の今日、終わらないウクライナの戦場、戦火がいつ上がってもおかしくない台湾海峡。残念ながら情勢は厳しさを増している。
  • 思いついたことはすぐに書き留めておく。「最適化はゼロサムゲームだし、統計は個を捨象する」
  • 井筒『コスモスとアンチコスモス』を読み終えた。5月に読み終えた (2022/05/29)河合隼雄の著作にいたく感銘を受けて、河合が東洋思想の手引としてよく引き合いに出す井筒の著作を読みたくなってしまい、積んであったのを読んだ。華厳経、スーフィズム、自分の知らない世界で繰り広げられている思想に、現在を生きる自分に直結する確かな力強さを感じる。挙げるとキリがないけれども、禅思想における「無自性」や「主客の消滅」(これは11月に読んだ鈴木大拙 (2021/11/01)でもよく取り上げられている)を通じて展開されるもの・ことの垣根の非本質さ、その時その時に生じては次の瞬間に独立的に新たな自性が生じる「創造不断」、このあたりの思想に触れているとロゴスの軸に支配された我々の一見秩序だったコスモスの世界がいかに仮初めの姿で、それにもかかわらず対立構造を生み出してしまうのか、という点についてどうにかならないのかという気持ちを抱かざるを得ない。

2022/08/05 (Fri.)

  • パスポートが返ってきた。今回は米国領事館で面接をして (2022/06/14)から51日かかった。正直なところ想定され得る長さではある。ともあれ1年間のマルチエントリビザが出ただけでも良かったと捉えることにする。来年までに一度くらい何かに託けてアメリカに行く機会を作りたい。
  • やる気をボロ布のように振り絞ってイントロを書いた。1ページ半に3時間ほどかかってしまったけれど、イントロを書くのには実際問題それくらいのエネルギーがいるものだろう。初めてのMDPIフォーマットで書いているので新鮮さもあって楽しい。
  • 華金ということで、仕事帰りに夜間開館している京都水族館に行った。もう水族館なんて4年前に行ったすみだ水族館が最後だし、夜間水族館ははじめて。平日の梅小路公園や京都水族館は人も少なくて、時間を気にせず水槽の目の前でオオサンショウウオをずっと眺めていても誰にも咎められない。大宮通や七条通などの大通りからも幾分距離があって、都会の中で緑に囲まれた静かな空間で落ち着ける。仕事帰りに行くのにはとても良い場所。大学からだと市街地の真反対の方向にあるのだけが難点なのだけれども。

2022/08/03 (Wed.)

  • 初めてアサインされたTMLRの査読をやった。先日は共著でTMLRに投稿している論文のリバッタルを終えて、査読者がかなり建設的なので好感が持てた。やはり既存のカンファレンスが採択率という悪しき存在のせいでnoveltyやsignificanceといういくらでも言いようのある主観的基準で論文を落とさざるを得ないのが全ての元凶なのか。今のところはTMLRに期待をしている。
  • これが2022年通算15本目の査読。1本あたりリバッタルも含めると平均して5時間以上はかかっているだろうから、半年で約80時間程度、およそ半人月か。年間1人月分の時間を査読に使っていると思うとなんとも言えない気分になる。

2022/08/02 (Tue.)

  • BFGSの収束証明で強凸性を仮定するのは今考えている問題では多少強い (2022/07/29) けれど、数値的にはHessianが正則であって欲しいと思うと強凸性を仮定してもまあ許容される気はする。何より強凸性を仮定すると収束レートがきちんと記述できて、そしてエントロピーのパラメータをいじったときのトレードオフが綺麗に記述できるのが大きい。そして手元で簡単に実験しても収束速度に関するこのトレードオフは綺麗に観察される。こんなに綺麗な理論と実験の一致を観測したのは久しぶりなので非常に嬉しくなった。これでこの研究は執筆に進める段階になったと思うので、後はやる気を振り絞って書くのみだ。理想的には8月中に書き上げたいところだ。
  • 次の研究ネタに向けて、前々から興味を強く持っていたgradient flowの勉強を少しした。まずはSaunshi et al. (2020)でgradient flowを解く部分を眺めてみた。Gradient flowは当然ながら微分方程式なので、基本的に損失関数やモデル、データ分布の仮定を適切に設定して綺麗に微分方程式が解ける形に持っていくのが肝のようだ。できればロジスティック損失と2層有限幅NNくらいを扱いたいけれど、素人にうまく扱える問題の難易度なのかどうかが気になっている。

2022/08/01 (Mon.)

  • 今日はやる気に満ちあふれている。朝から先週COSSに来ていた人たちと議論していた内容を検証して返事をし、後輩のリバッタルの手伝いと議論をし、研究室の学生さんの原稿を読んだ。とても偉い。楽しみながら仕事ができるのは気持ちの良いことだ。
  • こういう風にたくさんの原稿を読んだり学生さんの研究の議論に付き合っていると、否が応でも教育がどうあるべきかについて思いを馳せることになる。学生さんの議論に付き合っていると、どうしても「この水準には予め達していて欲しい」というラインが自分の中で生じてしまう一方で、そのラインを超えられるように学生さんを導くのが教育だとも感じる。自分は前者の気持ちに対して否定的だったのだけれども、でも少し考えてみると小学校、中学校、高校、大学、大学院と学校区分を区切っているのだって、結局は各段階において到達しておいてほしい線引きを行っていることに他ならなくて、ある到達地点に対して効率の観点から最低限達成しておいてほしいラインというのはどうしても生じる。それより下を「切り捨て」るのは必ずしも一方的に教育の責任放棄と断罪することはできなくて、教育の質担保のためには必要な行為に見える。そもそも教育だって教育者側の目的を達成するための一手段でしかないのだから。その目的をどこに据えるかによって足切りラインをどこに置くべきかは変わってくる。
  • こういう話を考えていると、やはり学部時代に教職をとるくらいの努力を積んでおくべきだったのではないかと思ってしまう。まあそう言っても今から戻れるわけではないし、本質的なのは教職をとったかどうかではなく、教育について自分がどれだけ経験を積んで悩んで考え抜いたかであることには違いないので、これからも考え続けるだろう。