双ヶ丘


10月になって心機一転新しい靴を手に入れてどこかに散歩に行こうと居ても立っても居られなくなったので、とりあえず京都の地図を眺める。できれば静かなところが良いと思って見ていると、花園の方面に大きな緑地が広がっているのが見える。双ヶ丘(ならびがおか)という名前の小高い丘で、古墳群などもあったりしつつ眺めも良さそうだということで、日曜日の朝に軽いハイキングに行くことにした。

まずは花園駅前でバスを降りる。国道162号線沿いのどこかに入り口がありそうな気配がするので、駅から5分ほど歩いていく。すると国道沿いの陸橋の裏に、「本当にここが登山道なのか?」と疑りたくなるような入り口が見つかる。

名勝 雙ヶ丘

石碑自体は昭和17年に建てられたもののようで歴史がある。ともかく登っていくと、間もなく木々が鬱蒼と茂り、木の根が山道に張り巡らされた、なかなかの雰囲気になる。とはいえ山自体は高くなく、気軽にテンポよく登ることができる。

登山道の途中

気温も天気も良い行楽日和の休日にもかかわらず人はほとんどいない。途中一人すれ違ったくらいで、登山道の入り口から10分ほど歩いたところで山頂に到着する。

三の丘 山頂(標高78メートル)

双ヶ丘はその名の通り3つの山が並んでいて、丸太町通に最も近いのが三の丘だ。ここから北上していくと二の丘、一の丘がある。三の丘は眺望がいいというわけではないが、人が少なくて木々に囲まれながら木漏れ日を浴びる感覚は心地よい。山頂まで来ると丸太町通の喧騒も遠ざかり、時折嵯峨野線のガタンゴトンという軽快な走行音が聞こえる以外は鳥の鳴き声がよく聞こえる。

ここは本当に洛中のすぐそこなのか…?

三の丘の山頂で少し周囲の音を聞きながらゆっくりと木漏れ日を楽しんだ後、再び北に向かって進む。二の丘、一の丘はもう少し高くて標高100メートルほどになるようなので、山頂であるにもかかわらずさらに登ることになる。

双ヶ丘は丸太町通と今出川通の間の天神川あたりを南北につなぐ丘陵で、位置としては一応京都の洛中の端にあるわけだけれども、全く洛中の側にあることを感じさせない、忘れてしまうような山の景色が広がる。

京都市南部を眺める

しばらくすると、再び見晴らしの良い頂上に出る。二の丘の頂上だろうか。南を向けば遠くに京都タワー、東を向けば東山や吉田山が遠くに見える。天気が良く、遠くに見える山の稜線の柔らかな輪郭に見入ってしまう。南に見えるあれば稲荷山なのだろうか。

コスモス

頂上には小さな花畑が手入れされており、秋らしくコスモスが咲いている。そういえばもう何年もコスモスをこうやってまじまじと見ることはなかった。最後は6年前に浜離宮で日光浴したときじゃないだろうか。

東山方面

30分ほどの良いハイキングになったので帰路につくことにする。二の丘と一の丘の間では一度小さな谷に降りるので、もう一度鬱蒼と木々が茂る。今日は一の丘は行かずに御室仁和寺駅から帰ることにした。山頂だけでなく、途中にいくつか小さな広場や展望台があったりして、自分で好きなルートを選ぶことができるのも楽しいポイントだ。

下山すると再び唐突に住宅地の中に放り出される。不思議な感覚だ。5分ほど歩けば御室仁和寺駅に着く。そういえば仁和寺も行ったことがない気がする。次は仁和寺とセットで来ても良いかもしれない。

鳥の鳴き声の種類がバラエティに富んでいるのが印象に残った。看板によると常時20種類くらいの鳥が生息しているそうだ。小さい頃は鳥の図鑑に見入って覚えたものだが、大人になった今ではもう全くわからない。もう一度鳥の種類や鳴き声を覚えて、じっくりとバードウォッチングするというのも楽しそうだ。