Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.
2026/05/30 (Sat.)
- 引越し業者も決まってしまったので、引越し日も確定した。京都生活も正真正銘残り二週間。夕食後に急に物寂しさを覚えて、唐突に夜9時に家を出かけて今出川まで散歩して、逃現郷に行った。前から行きたかったのだけど、結局訪れるのは京都生活最終盤になってしまった。いま自宅のコーヒー豆を切らしているので、それもあってかコーヒーの香りと味がいつもより数段上に感じられる。想像していた硬派な雰囲気に反して馴染みやすい居心地で、こんなところだったらもっと早くから来て通い詰めれば良かったが、後悔先に立たず。夜のコーヒーの後の散歩は、体がふわふわと軽くなったような感覚がして、これも初夏の夜の醍醐味かもしれないと思った。大学生みたいな夏。
2026/05/28 (Thu.)
- 博論審査が被って地味に時間がかかる。今日はとりあえず博論1本(本文約80ページ)をざっと読んだので、来週の中間発表に備えられる。もう一本はまだあと80ページくらい残っているけど、まあ来週なんとかしよう。
- そうこうしているうちに新居がほとんど決まって引越し業者の見積もり作業に入って、もう引越しの時期が見えてきた。引越しを想定して京都の行きたいと思っていたところには最近はできるだけ赴くようにしてきたけれど、どうしたって引越しは腰が重いし寂しさを覚える。今までのように東京と京都を往復する生活でも良かったのではないか、という気持ちもなくもないが、でも思い返すと二拠点生活は仕事もプライベートもあわせて二馬力出力を常に出さねばならないので大変だった(実際のところは高々一点五馬力くらいしか出ていなかったと思うけど)。ずっと学生のような気分で漫然と過ごしてきたけれど、気づけば三十路も過ぎたわけで、意外にもう気軽にそんな引越しを重ねるわけにはいかない歳になってきて、さあ人生どうする、と詰問されている。僕の一番苦手な問い。でもまあ統数研に移ってきて一年少し経って段々と軌道に乗ってきて、当面はこのモーメントに乗って研究活動と研究環境の整備に邁進したいと思うし、そのレバレッジのことを考えると向こう10年はどんなに少なくとも今の職場で頑張っていかないと割に合わないだろうなと思う。そして10年も経てば人生折り返しなのだと思うと、もう今の選択肢を全力で正当化して、それにフルベットする段階に来ている。悪くはない賭けだ。人と環境と出会いには今のところ恵まれていると思う。あとは車輪を止めないことだけ。不安も多いけれども、数年後、10年後、果たしてどうなっているのか答え合わせをしてみたい、という気持ちの方がやや勝っているかもしれない。
2026/05/27 (Wed.)
- 昨晩のグループディナーで学生同士がなんと総合格闘技が共通の趣味だということが判明した。こちらとしては学生同士で盛り上がって仲良くなってくれるのは嬉しいし、人数が少ない分それはなおさら。嬉しいことだ。
- ポスドクやインターンに興味があるという連絡がちらほら来ており、それはそれで非常にありがたいことなのだけど、僕自身の人的リソースも十分に足りてないし、予算も十分でない。人を雇おうと思うと当然だけど一人であっても相当の予算が必要になって、若手研究者だと金銭的になかなか厳しい。今年度も予算獲得を頑張りたいとは思うけれど。
2026/05/26 (Tue.)
- 今日も6時前に家を出発して2限の講義をしに立川へ。これで5回目、だいぶ進んできた。Multi-class classification の calibration の話に少し触れて、次回の凸解析の本番へ繋ぐ。
- どうにも目の乾燥をじわじわと感じる。仕事のしすぎのダメージか。
- 前撮りの編集済み写真が少しプレビューで届いたのだけど、クオリティの高さに驚いた。全体的な新緑がかった色調のトーン、陰影のつき方、こんな画角と表情をいつ撮ったのか全くわからない写真。大人になってから写真撮影なんてはじめて頼んだから、プロの技を垣間見た。残りの写真が届くのも楽しみ。
2026/05/25 (Mon.)
- 自動車教習の最終回をついに終えた。足掛け4ヶ月、最初は場内での運転もままならなかったけれども、4ヶ月経つと人って運転できるようになるものだな。この夏はどこか海辺なんかにドライブに出かけても良いかもしれない。
2026/05/23 (Sat.)
- 一昨日の全域木の話、昨日のオープンハウスでの僕自身の Brenier isotonic regression のポスター発表をしている間にぼんやりと考えていたところ、Helmholtz 分解と Brenier isotonic regression、そしてグラフ Hodge 分解を通して全域木識別と関係があるのではないかという気がしてきて、だんだん眠れなくなってきて布団の中で Claude に壁打ちをしていた。すごく楽しい。結果的には Brenier isotonic regression はポテンシャルの凸性を仮定していて、Helmholtz 分解は分解された勾配流が必ずしも凸ポテンシャルから誘導されるとは限らないので、その点が異なるという整理は出来たのだけれど。でもこれが面白くて、ある種の仮定のもとでは Hogde 分解は最小全域木問題に帰着できるから多項式時間で計算できてしまうので、実は一見背後に凸ポテンシャルがあって性質が良さそうな Brenier isotonic regression よりも計算時間の観点からは優れている。そうなるとそもそもポテンシャルの凸性を仮定せず、非凸も許したポテンシャルから誘導される一般のリンク関数を学習する問題として定式化すると、実はこれは計算量的にも良くて、数理的にも Hogde 分解との繋がりがあって、かなりイけている話なのではないかという気がしてきた。すごい、この話が通っているならかなり面白いはず。同僚と壁打ちしたい。
2026/05/22 (Fri.)
- お腹が弱っている。イタリアで体調を崩していた知り合いに常備していた整腸剤は譲渡してしまったし、一人で耐えている。ストレスか、食生活か。
- 企業共同研究のお誘いがあって、正直なところあまり期待せずに顔を出してみたらなんと outcome indistinguishability の話が始まって腰を抜かした。民間企業の待遇で outcome indistinguishability の研究ができるなら、僕もちょっと民間に行きたい(冗談だけど)。
2026/05/21 (Thu.)
- 久しぶりにまとまった雨が降っている。靴は濡れるし上がった湿度で頭に靄がかかったようにぼーっとするし何も良いことがない。
- 来所してセミナーされていた方が系統樹上の確率モデルの話を紹介していたので、久しぶりに行列木定理の復習をしていた (2023/06/28)。結論としては、行列木定理の適用スコープは最小全域木で、一方で系統樹は Steiner 木(らしい?未検証)なので直接は適用できなくて、しかも初めて認識した事実として、全域木の空間は凸になっている一方で Steiner 木の空間は凸にはならない!これが理由で Steiner 木の逆問題はだいぶ面倒くさそう。凸になるんだとしたらそれこそ Fenchel-Young loss が使えるかもしれないけれど、なかなか難しい。何か工夫して研究にしてみたい気持ちもあるけれども、さて。
2026/05/20 (Wed.)
- 前々から柳下さんにいただいていたコメントに基づいて研究を進めるため、今日は1日二人で所内に缶詰してひたすら研究をした。二人で総計6時間くらいはやったか。必要に応じてディスカッションや情報交換をしながら、お互い理論と実験でそこそこの進捗を出すことができた。研究者としてはこういう時間が青春。だいぶ嬉しい。最近は他人の原稿の添削であったり、書類仕事や意思決定等、さらに授業準備もあって相当に大変だったから(授業の準備はもちろん自分自身にとっても有益ではあるものの)、純粋に1日研究に没頭できるということそれ自体に喜びを覚えた。
2026/05/19 (Tue.)
- 学生の中間発表審査で NII に行ってきた。正直中間審査なんて出来るのか、背景知識不足で何も有益なコメントができないんじゃないか、と思っていたけれど、想定していたより有益なコメントができたように思う。テンソル分解なんて全く腰を据えて勉強したことはなく、全て耳学問で雰囲気だけで把握しているけれど、それはそれで悪いことではないようで、凸解析的な鳥瞰的視点から見えてくる構造もある。いろんな研究を一貫性なくやってきたことに負い目を感じることは少なくないけれど、ことこういう機会においては議論の種になるので悪くない。
2026/05/18 (Mon.)
- 散々悩んで、問い合わせが来ていたインターン生を受け入れることにしてメールの返事を出した。受け入れない理由は予算、事務手続き、僕自身の学生の面倒を見る余裕、学生自身の主体性など、いくつか挙げようと思えば挙げられるのだけれども、それ以上に「なんとなく」取ってみたいという気持ちが拭いきれず、ズルズルと1、2週間ほど返事を引き延ばしてしまった。でもそれだけ悩むのだったら取るのに十分な理由なんじゃないか、という気もして、結局インターンなだけであって博士課程入学というわけでもないわけだから、取ることに腹を決めた。採用は本当にどうすれば良いのかわからない。予算の余裕が非常に潤沢というわけではないけれども、捻出すれば無理でもない。ならより「ワクワク」しそうな方向性に舵を切るのは間違ってないんじゃないだろうか。
- そんな感じでオフィスで2時間ほどこの一件に係り切っていたせいで、他の仕事はなかなか進まなかった。本件に関して言えばある程度仕方ないとはいえ、決断力が鈍い。効率よく捌いて研究に没頭したい。
2026/05/17 (Sun.)
- 高校の友達と大阪でボードゲームをした。会ってボードゲームをするのは2年振り (2024/06/23)?別に何がどう特別というわけでは決してなくて単に他愛もない一日だったのだけど、気づけば2年。人生で会える機会を回数でカウントすると、意外にそう多くもないのだろうなあと思うと、本当に会える時に会っておいた方がいいなと思う。
2026/05/16 (Sat.)
- 一昨日、前撮りの写真を撮った。朝早くから下鴨にタクシーで向かい、7時半から身支度を始めるという非日常。京都府庁の重厚なカーペットに合わせて選んだ衣装が思っていた通り馴染んだ。府庁でも哲学の道でも、行きすがりの人たちに祝福の声をかけてもらえて嬉しかった。思っている以上にこういうタイミングで声をかけてくれる人が多いのだということを知った。自分も他人の慶事を心の底から自然に祝えるような、余裕を持たなければ。初夏の昼下がり、時折吹き抜ける風のおかげで気持ちの良い新緑のもとで写真を撮ることができた。
2026/05/13 (Wed.)
- 朝、イヤホンをせずに彦根城の堀沿いの水鳥の鳴き声を聞きながら歩いた。先週まで忙殺されて落ち着きのなくなっていた心が多少落ち着いた気がする。
- ふと立ち止まって、やはり自分の研究の一貫性のなさゆえに不安に襲われる。最近は学習力学系に興味を持って、多少は何本か論文を書いてみたものの(NeCo25, NeurIPS25, 投稿中論文)、別に取り留めがあるわけでもなく。ミーハーで手を付けてみただけでやはり一貫性はない。こういうのはオンライン最適化をやっている人たちを見ると「◯◯をやっている人」と認知されやすいところに羨ましさを覚える。結局自分は何者なのか、アイデンティティを欠落させたまま自堕落な研究者生活を送ってしまっている。
2026/05/12 (Tue.)
- 帰国して講義を終えてさすがに疲労で2時間ほど寝込んだ。
2026/05/10 (Sun.)
- 2週間弱の周遊をほぼ終えた。思い返せばこの長さで海外出張するのは久しぶりだったような気がする。パリで、タンジェで、ミラノで、論文越しでしか知らなかった人たちと何人も顔を合わせて議論して知り合えて非常に有意義だった。いくつか共同研究の種らしきものも芽生えたので、今後議論が続いたら嬉しいな。
- ミラノでは、何の気なしに最近読んだプレプリントの著者にメールを送ったらミラノまで来てくれて(自宅がミラノとトリノの中間だったらしい)、互いの論文の動機とテクニカルな差分に関する議論を重ねて、そのままワークショップの参加者とビールを飲みに行った。こういうのが良い。日本に来てくれる人も同じようにもてなしたいと思う。本当にかくあるべき。
- 昨日は唯一の一日空いている日だったので、締切も終わった開放感で Como Lake に行ってきた。いかにも「スイス!」な風景で(Como はスイスまで徒歩でも30分程度)、そういえばこういう山岳・湖畔のヨーロッパには初めて訪れたことに気づいた。5月の北イタリアにしてはだいぶ暑かったが、丘の上まで小一時間ハイキングして、久しぶりに体を動かして景色を楽しんだ。
2026/05/08 (Fri.)
- ミラノのワークショップのトークも終えて、その勢いで半分徹夜をしながら研究費の申請書も提出して、ようやく出張中の仕事をすべて終えた。「こんな大変な締切は久しぶりだった」(2026/01/29) 締切よりも更に大変だった2週間だった。ワークショップを終えてミラノの学生、ポスドクと一緒にビールを飲みに行った。ヨーロッパに来てから文字通り初めてビールを飲んだ。ようやく一区切りがついた。
2026/05/06 (Wed.)
- ゆっくりと気持ちの整理をつける余裕もなく、この数日間ひたすらに会議場とホテルを往復していた。日に日に増して近づく締切に対してエフォートを注ぎ込み、必死に学生の論文のクオリティを上げる。昨日今日と直前になるともう音を上げたくなる気持ちもあるが、気合いでなんとか背筋を叩き伸ばす。タンジェの空港の待合室で、みんなで並んで必死に論文を書いている。
- AISTATS は正直後半はほぼポスターセッションしか参加できなかったが、それだけでも来てよかった。特に Nika と始めて対面で挨拶をし、Johanna Ziegel にポスターを聞いてもらえてそれから半年後のワークショップに招待されたのは良かった。あとは、会場で下手なフランス語でフランス語圏の人と話しているうちに、次第に知らない人からもフランス語で話しかけられるようになってきたので、フランス語の良い練習の機会になった。
- あと20時間。ミラノへのフライト中、オフラインの中で自分の落ちた論文を書き直す。
2026/05/02 (Sat.)
- 明け方に祖父の訃報が入ってきた。2月に中国に帰ったときには既に虚弱ではあったので大きな驚きはなく淡々と受け入れてしまった。しかもモロッコにいるから今から帰るのも土台無理だし。せめてもの救いは、祖母のとき (2022/01/27) とは違って直近数年は年に一回ほど挨拶は出来ていたことで、祖母のときに比べるとまだ気持ちの整理はつく。しかしどうしようもない。当たり前でしかないことだけれども、親族の訃報にお構いなしに世界は進んでいく。あとは残った遺族が気持ちを整理するかしないかだけの話なのだ。
2026/05/01 (Fri.)
- 論文の締切もあるものの、モロッコまで来て観光に全く行かないのは機会損失でしかないので、天秤にかけた結果昼過ぎまで観光に行くことにした。市街地まで趣き、メディナ、スパーテル岬を歩いて回る。旧市街はアラビックな雰囲気が目立っており欧州の旧市街とは全く異なる空気が漂っており新鮮。幾何学的タイルを敷き詰めたモスクを見ると、8年前に行ったエルサレムの岩のドームを思い出す。こういう無機質さを極端まで突き詰めたことによって逆説的に人為的な有機性を呈した建造物が一番好きかもしれない。モンドリアン、フランク・ロイド・ライト然り。
- 海辺の岩壁まで近づくと、紺碧の荒波の向こうにヨーロッパ大陸がたしかに見える。海抜だと水平線は 8km くらいしか見えないはずなのだが、数十メートル高台に立つと見渡せる距離がだいぶ伸びるらしい。大陸の対岸から別の大陸を見渡しているという事実自体に、得も言われぬ良さがある。昔よく読み漁っていた『マギ』の暗黒大陸のことを思い出す。
- 町中のドライバーはフランス語が話せたり話せなかったりまちまちだったが、スパーテル岬からホテルまでの帰路のドライバーは非常に流暢にフランス語を話す人だったので、たくさん話ができた。モロッコの言語と文化、日本のエンタメや自動車、機械産業、国際的な投資関係と事業、モロッコにおけるスタートアップ業界の話。一年前にはおよそ想像できなかったほどにフランス語で聞いて理解することができる。勿論彼が僕のフランス語のレベルに合わせて、例えば僕がぱっと意味を思い出せない単語もちゃんとフランス語で言い換えて説明してくれたりするくらいの忍耐力があるので成り立っている節はあるのだが、それでもやはりここまでフランス語の運用能力が上げられたということは非常に嬉しい。相手の話す速度にもよるのだが、それほど早口でなければ話の大筋はわかるくらいのリスニングは出来ている気がする(細かい単語一つ一つまでは全て聞き取れないことはあるけれど)ので、段々と僕自身のスピーキング能力がボトルネックになってきているかもしれない。相槌が全部 “Oui oui” “C’est ça” “C’est très bien” に終始していて芸がない。それでも今日まで2年間ほど継続して勉強してきて本当に良かった。
- モロッコのフランス語のアクセントも少しわかったような気がする。50 = cinquante の発音が、自分の認識だと san-kant だと思っているのだが、モロッコ人は se-kant と発音しているようだ。いままでケベックアクセントとかを聞いても全然違いがわからなかったので、少し違いが認識できた。
- 夜なべして学生の論文にひとつ新しく定理を書き足した。ちゃんと証明を埋める過程で、やはりいくつか勉強になる点があった。Weyl の不等式や Haar 測度の話が自分にとっては新しい話だった。特に、Haar 測度は名前だけは稀に聞くものの、何者なのかがわかっていなかった。群作用に対して不変な測度、ないしその群作用に対して不変な多様体上の一様分布、と捉えればわかりやすい。