Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.
2026/06/23 (Tue.)
- 領域会議1日目。今回は一人90分講演だから、人の講演を聴きながらゆっくり腰を据えて勉強することができる。年々3日拘束されるのがキツくなりつつあるが、来てしまった以上は有意義な時間に変える努力をする必要がある。
- 今回の領域会議では西浦先生の特別講演があって、だいぶ昔の学変の領域会議 (2023/09/26) のときにされていた話の延長線上の話をされていた。こういう「二つの文化」的な話に多少なりと数学畑の人たちが思いを馳せることは大事だとは思うにせよ、しかしやや深さが足りず幾許かの肩透かしを食らった。数学と人文学の接近、それ自体は正直「学際研究」の焼き直しであって、本来はミクロであったり個別性を丹念に記述する必要のあったはずの人文学からそれらを奪い、マクロや普遍性に帰着してしまう粗い近似なのではないか、と思ってしまった。それは数理モデルの研究であって、人文学が追い求めていたところではないのでは、という。文化進化の例示も最たるもので、あれも結局物理畑の人の、悪く言えば「おもちゃ」だと思ってしまう(いや、数理モデルとしてはこの上なく面白い「おもちゃ」だと思うけどね)。その分、振り返ると鈴木晶子先生 (2024/08/08) の「人間の価値観を科学技術の中にどう位置付けるか」という問いの方が筋がいいのではないかと感じてしまった。数理からもう片方に領域侵犯して碌な結果を産んでいるのをみたことがない。かといって、じゃあ僕が代案を提示できるのかはまた別の話なのだけれども。
2026/06/21 (Sun.)
- サークルの友達の結婚式で名古屋に日帰りで行ってきた。昔の友達がこうやって家庭を次々と持っていって疎遠になっていくんだろうなと思う。人生の各々のステージがあるのは重々承知とはいえ、大学生のあの頃の無尽蔵のパワーと貪欲な交友関係を思い返してはノスタルジーに浸る。
2026/06/20 (Sat.)
- 引越しの段ボールを粗方片付け終わった。少しサンシェードの DIY 等もして、だいぶ自宅が快適になった。三鷹は活気があるのに静かで、落ち着いて生活しやすい。今まで住んできた中で自宅周辺の生活環境の意味では最も良いかもしれない。
2026/06/19 (Fri.)
- 軽井沢合宿、二晩とも夜の2時近くまでアカデミア談義に花を咲かせていたため、終わったいま非常に眠い。
- 正直 PL 分野の人たちとは分野の断絶が大きく、ディスカッションをする負荷が高かったのだが、なんとか「いろは」の「い」を教われたような気がする。彼らの不動点に対する嗅覚はすごくて、最大到達確率はベルマン作用素の最小不動点で書けるとか、別の何かの概念もある作用素を持ってくるとその不動点で書けるとか、そのセンスに舌を巻く。しかも作用素が縮小的ではまったくない状況を考えていて、それで「最小」不動点でなんとか有意味な特徴付けに挑戦しており、その結果構成された数学的枠組みが美しいのだから圧巻である。最適化ではパラメータ更新の1ステップを作用素だと思うことができるけれど、基本的にそれが縮小的でなかったら要するに不安定、パラメータが振動・発散してそれ以上有意味な理論的主張、計算を行うことはできない(というのが一般的な見方だと思う)。だとすると、edge of stability のような不安定なレジームにおいても、実は最小不動点の理論が応用できたりするのだろうか?
- 渡邉さんと議論していて、あれだけ理情の同期が口癖のように言ってきた CPS 変換が、実質的には凸集合の支持超平面であることがようやく朧げながら見えてきた。多目的最適化の気持ちでみると、パレート境界の凸包だと思っても良い。その計算は一般的には非常に困難なわけだけれども、実は Brenier isotonic regression のアイデアを拝借すると、支持関数が凸であることに着目して convex regression だと思って支持関数を推定しに行くことができるのでは、ということに気づいた。思わぬところで Brenier isotonic regression の応用が見えてきた。
2026/06/17 (Wed.)
- 知り合いに誘われた軽井沢合宿に来た。普段は接点のない PL 系の人との合宿なのだけれど、みんな自己紹介がうまくて分野の概観とかモチベーションを端的に説明してくれている。自分の自己紹介が下手すぎるので真似しないと。
2026/06/16 (Tue.)
- 昨晩も講義の準備をギリギリまでやって、今朝も朝からずっと講義のことしか考えられなくて、午前に講義を終えてようやく気持ち的に解放された。嫌いではないのだがプレッシャーが大きい。それに結局全然うまく喋れていない。本当に難しい。もう今日で第8回が終わって残りも5回。数学的にいちばん重い部分は越えたはずなので残りは多少は気楽ではあるのだが、それに反比例して数理的な定式化の妙をうまく伝えないといけない部分が増えてきて(Fenchel-Young loss の定式化とか)、説明の水準を上げなければならなくて、難しい。週の1日は講義のことに使っていると思う。
- いずれにしても仕事帰りに三鷹に戻ってくるだけで落ち着いた街の雰囲気で落ち着けるのが本当に嬉しい。地域の連帯感もありつつ、閑静な通りで落ち着いた雰囲気もありつつ、買い物にも困らずで、引越し3日目にして暮らしやすさをしみじみと感じている。
2026/06/15 (Mon.)
- ひとまず引っ越し作業が終わった。週末2日あっても遠距離の引越しは体力をかなり消費する。なんとか最低限生活できる状態にはなった。内見に何度か訪れたときは伽藍堂だった部屋にダイニングテーブルと絨毯、カーテン等を入れると一気に生活感が出てくる。ダイニングから遠くに井の頭公園が見える閑静な家で、落ち着いて暮らすのが楽しみだ。
2026/06/12 (Fri.)
- SNS に流れてきたので久しぶりに BMC の研究者ワークアンドライフバランスに関する読み物を斜め読みした。30代半ばで同級生の人生と自分の不安定な人生を相対化してしまい不幸になってしまう、というまあよくあるテンプレートのような話が並んでいたが、なんだか昭和の日本のような「当たり前」の人生観を内在化してしまったことによる不幸なのかなと思ってしまった。今日日そんな定年まで終身雇用、35でマイホーム、絶対一姫二太郎、みたいなそんなものは小説の中の寓話のようなものなんじゃないか。昭和の「当たり前の幸せ」のパッケージ化が進んだ結果、それを獲得できなかった人間を不幸であると画一的に評価する一元的な基準の歪みなような気がしてならなくて、もちろんアカデミアに構造的問題がないとは言わないけれど、日本社会全体の歪みのように見えた。
- 査読している論文が思いのほかに面白くて、c-変換を classifier の学習に使えるかもしれないアイデアが思いついてきた。そういう妄想に時間を費やしているもんだから査読自体の進みはあまり芳しくない。誰か一緒に興味を持ってやってくれる学生はいないかな。自分でやっても良いくらい面白い研究のアイデアだと思うが時間が足りない。
- ついに京都を離れるまで24時間を切った。とにかく荷造りをして夜の11時。千本通、丸太町通、良いところだったけどもうなかなか来れないだろうなあ。
2026/06/11 (Thu.)
- 白眉の飲み会に参加すべく、大阪から帰ってきて烏丸駅から二条通まで急足で上る。そしてふと、こういう町屋の景色の中を何の気なしに歩くのももうないのだろうなと思うと、途端に寂しくなってくる。引越しまでもう60時間を切っている。この居所のなさにもう耐えられない。
- 白眉の飲み会、久しぶりに「研究の流行に寄り添うべきか、我が道を行くべきか」「テニュア取って研究に対する情熱を失う教員とどう対峙すべきか」といった普遍的なテーマを肴に盛り上がった。本当に悩みが尽きない。実際、少なくとも国内を見渡す限り本当にきちんと研究をしている研究者はあまりにも少ない。このままだと本当に研究コミュニティの文化自体が諸共失われてしまうのではないかという危機感がある。
2026/06/10 (Wed.)
- 昨日の講義で学生からもらった質問に対する回答を考えるのに、午前を丸々使ってしまった。証明中では収束列を取っていたのだけど「列が振動列だったらどう扱うのか」という質問で、その場でもすぐに回答できず、数時間考えてもなかなかすっきりとした証明が書けず、結局のところ厳密には Bolzano-Weierstrass を使って振動列が有界であることから収束部分列を取ってくる必要があった。こんなもの、わかっていれば大学一年生でも答えられて然るべきなのに、いまだにすぐに答えられないのが情けないなあと思う。
- 学生のお願いや勉強会の誘いを断ったりした。ちょっと全然空き時間が取れてないから。それでも研究のディスカッションに関するメールや Slack のメッセージを何件か受け取っていて返信している。それはそれで本当にありがたいことなのだけれども、全体的に見て時間が本当に逼迫している。
2026/06/09 (Tue.)
- 引越し前の最後の立川出張、しかも引越し作業もあるので今日は日帰り。講義をできるだけオンラインにしたくなかったので、日帰りだけれど来ることにした。なのだけど、あまりうまく講義ができなくて虚しい。凸解析の数学パート全2回の後半だったのだけど、微分性と C1 級の差異で生じるギャップを聞かれて咄嗟に答えられなかったり、証明中に講義ノートを読みながらつっかえたりしたりなど、本当に不甲斐ない。Rennes で講義したとき (2023/02/28) も質問にすぐに答えられなくて悲しかったのだけど、もうこればっかりは喋るのを繰り返すことで穴を次第に埋めていくしかないのか。はあ、こんなので大丈夫だろうかと思わなくもないけれど、もう三十路になっているので「これから勉強します」では許されないようにも思うし。昨日は講義のリハーサルを3時間以上はやったので大丈夫だと思ったんだけど、そううまくはいかない。
2026/06/08 (Mon.)
- 梅雨。明らかに体が重い。学生の原稿のクオリティを上げるべく、体に鞭を打ちながら読み込んではコメントを書き込む。自分の研究に戻ってくるにはまだ時間が必要そうだ。
2026/06/07 (Sun.)
- 帰ってきて引越しの準備をひたすらした。段ボール23箱。4年半住んだので長い方だけれども、もういい加減引越しはしたくないと毎回思う。
- 村上開新堂の焼き菓子を買って、ルラションでステーキを食べて。大したことではないけれど京都にいたときの思い出を少しずつ振り返りながら、必死に引越し前の上の空になっている心を落ち着かせようとする。
2026/06/05 (Fri.)
- 年1の研究室の同窓会に行って、昔の知己に会えたのは良かったけれど、短時間でたくさんの人と話す羽目になったせいで一人一人と大した話ができず不完全燃焼になってしまったので、逆に疲れてしまった。学生のときだったらグダグダと研究室で話しては翌日に持ち越し、みたいなこともできたのだが、もうそういうことは出来なくなってしまった。大人になってしまって悲しい。
2026/06/04 (Thu.)
- 2年ぶり (2024/07/30) に Wenkai に会った。統数研でトークが企画されたので聞きに行った。Multivariate な conformal prediction の話で、本質的には僕のやっていた Brenier isotonic regression とも密接に関係するなと聞きながら思った。先月の AISTATS でも Johanna と議論して感じたこととして、uncertainty quantification のコミュニティの中でますます multivariate 拡張に対する興味が湧いてきているようで、Brenier isotonic regression にそのタイミングで取り組めたのは狙っていたわけでもなくただ運が良かった。僕自身最近は毎日歩いている時間などで multivariate calibration のベクトル場に関して考えていて、いま最も興味があるトピックと言って良い。
- 腰の重かった博論審査に取り掛かって、ようやく読み終えた。レポートを書くのは今からだけど。これを終えたらあと査読が1本。うう、早く終えたい。
2026/06/03 (Wed.)
- 台風が関東直撃だったので出張中なのにホテルで仕事することにしたが、やる気が起きず結局部屋で寝るなどしている。査読、審査といった絶妙にやる気を奪う仕事が積まれている。早く脱しなければ。
- 学生とのはじめての論文を arXiv に上げた。論文投稿を終えてからも細かいところのブラッシュアップをすべくフィードバックを繰り返していたが、学生が根気よく付き合ってくれたおかげでクオリティはかなり上がったと思う。個人的にも初等的なスペクトル理論や集中不等式の勉強・確認になったし、Muon 研究として良い点に着眼したので、ぜひ注目されると良いなと思う。
2026/06/01 (Mon.)
- 講義資料を一通り作り終えた。一学期分、全部で56ページ。限られた時間の中で作ったノートとしては悪くないと思う。明日で講義も第6回で折り返しも近づいてきており、そろそろ講義にも慣れてきた。明日から凸解析パートだが、自分が作った講義ノートを見返してもまあよくできているものだと思う。一見掴みどころのない凸解析の重要な定理を、たった8ページでまとめ上げている。