Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.
2026/09/20 (Sun.)
- 台風前夜、非常に湿気っている。先延ばしにしていた共同論文の原稿をひたすら修正する1日。
2026/09/19 (Sat.)
- ダメだ、本当は溜まっている原稿に取り掛からないといけないのはわかっているんだけど、CMIR の構造が気になり過ぎてそればかり考えてしまっている。共同研究者に申し訳ない。一度あるトピックを考え始めると他のことに一切手がつかなくなってしまうのは本当に悪い癖。
2026/09/18 (Fri.)
- もう何週間ぶりかわからない朝晴れ。これだけで全然1日の気持ちが変わる。
- 今日はなぜか英語があまり流暢に喋れない日だった。大変な1週間だったのでたぶん疲労が溜まっているのだろう。事務仕事とミーティングが多かった。
2026/09/17 (Thu.)
- 発注していた GPU サーバをようやく設置できた。話が始まってもうちょうど足掛け1年、予算の申請から見積りから、そして何よりこの半年の機材価格高騰で、トラブル続きだった。まだ電源やネットワークのセットアップは残っているけれど、現物が届いたのは大きい。これまでで一番大きい予算額の取り扱いだった。
- その後もまだまだ事務手続きが多く、繰り返していたら夕方になった。今日も研究の時間は早朝の1時間ほど。それがあるだけでもマシか。Decision calibration に話が繋がろうとしている。はじめて坂上さんから教えてもらってから丸4年 (2022/03/23)。本当に decision calibration に接続したら、あまりにも研究者人生の伏線回収すぎる。
2026/09/16 (Wed.)
- Yutong とのミーティングの直前に追い込みで計算をしていたら少し光明が見えてきた。時間がなさすぎて自転車操業で研究になってしまっているが、ミーティングが終わってから考えていたらこれはきちんと研究になるのかもしれない。自信はまだ3割。しかし解ければかなり価値がある。
- 今期の卒業生を送る会だった。懇親会だと色々な学生と話すことができて楽しい。弊所は世間体としては寡黙に机に打ち込む人間味の希薄な研究者集団(!?)といったところなのだろうが、今の大学院生たちは非常にアクティブで、かといって数理的にも面白い研究に打ち込んでいて、なんというか学生生活の鑑。自分があと7、8歳若かったらその輪に混じりたい。こういう学生と触れて元気を貰えるのは本当にこの職業ならではの良さ。
2026/09/15 (Tue.)
- 学科試験になんとか合格した。夏休みの3日のうち丸々2日もこれに使って、しかも高圧的なスタッフに応対しないといけないといけなかったのが非常に不愉快 (2026/09/15)。これで当面は来なくて済むと思うと気が清々する。
- 研究員の事務手続きで躓きポイントが多すぎて大変。昨日は弊所の規定で住民登録がうまく出来なかったのを担当部署と交渉してルールを変更した。それでもまだ銀行口座の開設がうまくいかなかったり。このあたりは僕と秘書さんの二人でサポートし切れる範囲ではない。こういうときに小さい組織の体制の弱さを露骨に実感する。
2026/09/14 (Mon.)
- 学生のミーティングの後にランチでキャリアについての雑談をした。彼らはちょうど博士2年目前後で就活を意識するタイミングで、正直キャリアなんて再現性もないし無責任なことは言えないのだけれども、僕もひたすら悩んで結局成り行きで選択しただけにすぎない、ということを言った。そんなことわからないし、今から振り返っても自分の選択が良かったのかはわからない。結局成り行きでも選んだこの選択肢の積み重ねの人生を歩むしかなくて、ただずっと悩み続けているということだけは変わらない。それと同時に今アカデミアで自分の好奇心を刺激される研究に囲まれているということも本当だし、それはそれ自体が喜ばしいことなので、別にみんながアカデミアに進むべきとは思わないけれど、世界の片隅にはこういう楽しい場所、美しい文化があるのだということは知ってほしい、ということに限る。
2026/09/13 (Sun.)
- はやく進めねばいけない研究が3つか4つ同時にあって、流石に手が回らなすぎる。学生時代は1年で1つ仕上げるのも大変だったのに、本当はこんなに同時にできるわけがない。とはいえやりたい研究が多すぎる。やはりそろそろ研究室メンバーと積極的に同じ方向性で課題に取り組むべきタイミングが来たような気がしている。もちろん自由にやりたい学生は自由にやってもらったら良いけれど、自由に自力で研究テーマを探すことを無理強いするくらいならむしろ僕のアイデアに取り組んでくれた方が色々とうまく回るような気もする。そう考えるともう少し学生を受け入れることに対して多少積極的になっても良いのかもしれない。
2026/09/12 (Sat.)
- 進んでいない研究を週末に帳尻合わせすべく、Claude の力を借りてやっているが、そんなにすぐにはうまくいかない。支持関数外側近似の話 (2026/08/08) がようやく正しく定式化できた(僕が外側近似の定義を何度も勘違いしていた)のは良いものの、当初想定していたよりも扱いづらい非凸最適化のようで、(Claude が)軽く実験をしてみたもののどうにも非常に小さなスケールでもまだうまく動作していない模様。突破口がなんとか欲しいところだけれども、週明けに間に合うだろうか。
2026/09/11 (Fri.)
- 3日間学びの多い研究会だった。研究がほとんど止まっていたのは痛いのだが、それでもディスカッションの実りが大きかった。しかし本格的に僕一人で研究をマネジメントできる範疇を超えてきた。面白い課題はまだまだたくさんある。やはり興味を共にできる学生を積極的に巻き込むべきだろうか。
- しかして研究会の間、いろいろな学生に話しかけられた。すっかりアテにされる立場の人間になってしまったなというのを実感すると同時に、だから僕たちの立場の人間が世界をリードする気概でやらなければ、そしてコミュニティのパイを増やすべく努力しなければ、という責任感を強く感じる。全然足りない。同世代 + アルファ、35前後の人たちを見渡しても、僕自身を含めて「世界」と肩をイーブンで張り合えている人なんて、国内には全然いない。あともう3倍くらい頑張る必要がある。僕自身が一人で研究テーマを探し続けて迷走して、ようやくこれが軸だと思えるものを確立しつつあるタイミングでもう faculty になってしまった。本当は博士の終わりの頃には確立すべきなのに。だから今の学生にはもっと高速道路を用意した方がいいんじゃないかと思ったりする。
- 名古屋大学の本部キャンパスは初めて訪れたのだが(鶴舞には4年前に行った (2022/06/27))、コモンスペースにクッションからコンセント、お座敷まで、しかも相当な数が並んでいて、学生たちにとって居心地の良さそうな空間だった。僕も2時間ほど滞在して仕事をしたが、気持ちがよかった。誰がどう意図したのか知らないが、大学という場所の性質をよく理解した、素晴らしい設計だと思った。東京は少なくともどこかしこもこの(空間的)余裕に欠いていると思う。
2026/09/10 (Thu.)
- 会場で「職業数学だったら自分が問題を解く快楽を追い求めるのではなく AI を使ってでもいいから問題を解くべきなのでは」という話を耳にした。道理にかなっていると思う。
- Navier-Stokes のミレニアム問題を OpenAI が解いた件でメディアが大騒ぎになっているが、事の顛末を精緻に追うだけの余裕がなく、特定の判断にコミットすることができない。眺めている印象論では、「近年の研究ですでに特異解の構成に非常に近しいところまで辿り着いていたので、実は AI の有無いかんにせよ否定的解決の一歩手前までは来ていた」「元 Anthropic 所属だった数学者が AI を駆使しながら特異解の構成にほとんど漕ぎ着けていた」「それを感知した OpenAI(それが人間か AI エージェントかはわからないが)が全社的にリソースを投じて解決したと主張」という流れの模様。個人的にはそもそも特異解の構成にどれくらい理学的な意義があるのかを理解していないので(工学的には結局大枠では有限差分法で解くことになるだろうから)この貢献の大きさが判断できない。そういう問題の価値を理解していない僕にとっては、そんな人類を長い間悩ませている問題は AI でもなんでもいいからさっさと解決されてしまえば良いのでは、と思ってしまう。貢献のクレジット、知的侵害の話は言うまでも看過できる話ではないので、ここでは一切合切棚にあげているけれど。
- 2日にわたる3時間の講演、実際には伸びた講演時間、質疑の時間も諸々含めると4時間半くらい喋っていたけれど、なんとか乗り切った。まあ大変ではあったけど、人前で喋るのはやっぱり好きなのだと思う。普段とは聴衆層も違ってやや純粋数学色の濃い人が多めだったかと思うのだけど、そういう人たちからも講演後に「わかりやすかった」「面白かった」などの声を貰えたのは純粋に嬉しい(一方で細かい問題設定が伝わりきっていない人もおり、そこはどうしても反省が必要になってしまう)。いやはや、講演の全日程を終えた瞬間に力が抜けて、疲労感(と仄かな達成感)が押し寄せてきた。帰ってきて研究の続きでもするかと思ったけどそれどころではない。
2026/09/09 (Wed.)
- やることをたくさん抱えたまま出張で名古屋へ。初日はまず前半2時間の講演を終えて、持ち堪えたものの喉はかなり使った。聴衆は50人弱といったところだろうか。数学寄りの人が多くてどこまで僕の話に興味を持ってもらえるのか不安ではあったのだが、今のことろ感触は上々で、若い人たちの質疑がなかなかに鋭く、「cosine similarity のダイナミクスは実はノルム制約の未定乗数法で書くと超球面上の勾配流が綺麗に書けるのではないか(ラプラシアンのディリクレ問題に対して実はそういうポテンシャルが書けるらしい)」といった話をされたりとか、「線形 NN のスペクトル初期化は数値線形代数の言葉で言えば一般化特異値分解になるのではないか」など、僕が考えたことのない視点から、かつ機械学習的にも面白い切り口を教えてもらった。講演準備に使った時間は少なくないけれども、これだけきちんと盛り上がると準備をした甲斐があると感じられてありがたい限り。やらねばならないことは山積しているが、しばしこの余韻に浸るくらいは許されるだろう。
2026/09/08 (Tue.)
- ミーティング2件の合間に役所仕事して、さらに来週搬入予定のサーバの手続きをいろいろとやっていたらもう16時。1日が終わりかけている。昼ごはんを食べる時間もなかったので結局ミーティングしながらサンドイッチを頬張る。はあ。自分自身だけの時間があるというのは本当に貴重なことなのだということを痛いほど実感する。明日からはまた名古屋出張だし時間が取れない。悩ましい。
2026/09/07 (Mon.)
- 共同研究が明らかに回っていない。ちょっと調子に乗って手を伸ばしすぎた。並行しているものだけでも5つあって、認知的リソースが足りず、最後に考えたのが2週間前、なんて共同研究がザラにある。今月中にどうにかケリをつけないと認知負債が溜まってしまう。AI にすぐに頼ることはしたくなかったのだが、自分の単純作業効率がボトルネックになっている部分はどんどんアウトソースしてしまって、思考・判断にフォーカスするべきなように思われる。この1ヶ月を凌ぐ間だけ、そう思うのは戻れない道へのパンドラの箱を開ける行為なのだろうか。
- 共同研究者と議論していても猫も杓子も LLM にコーディング、数理的分析をさせて、それを元に会話している。しかし本当にその内容をどこまで理解しているのか、相手の認知に疑問と違和感を持つ瞬間が少なくなってきた。この一年で知的作業に関して明らかに趨勢が変わってきた。間違いなく LLM の方が効率は良いのだけど、それによって失われる人間の能力というのが、次第に見えてきつつあるような気がする。
- ああ、10月頭にビザが切れる前にアメリカに行きたかったけど無理そうだなあ。多忙は真に罪である。
- Mohit の歓迎会ついでの研究室ディナー。学生と喋ると最近何に悩んでいるのか生の声がきちんと聞けてなかったなと思う。変化の多い時代だから何も確たる指針を示せないのがもどかしいけれども、でも今までの時代だって結局そうだったのかもしれない。
2026/09/06 (Sun.)
- 週末1日半使ってなんとか来週の招待講演の講義資料を作り終えた。3時間用の資料でスライド160ページ、本当に大変だったが、その過程でたくさん勉強できた。Self-stabilization 論文もいつかきちんと読み込みたいと思っていたが、この資料作成の過程で詳細を理解できた。自分が疑問に思っていたのは self-stabilization がどれくらい広い系に対して有効なのかという点だったが、「progressive sharpening が仮定できる系」というのが答えだった。よく読むと書いてあるのだが、progressive sharpening の機序の説明は一切行っていない。次点で特筆すべき点として、「(刻み幅) x (progressive sharpening の度合い)」が Taylor 展開の誤差項になっているため、progressive sharpening が顕著な系に対してはかなり小さな刻み幅しか許されない。これは言語化しにくいが数理的には非常にうまいモデリングだと思っていて、元々 beyond EoS 現象をモデル化するにあたって勾配流近似ができないレジームを考えるわけだが、それをある種の勾配流に落とし込むトリックがここにある。完全に離散な力学系はどうしても綺麗な数理的構造を見出すことができないので、その限界を攻めて上手に連続化しているのは感嘆する。
2026/09/04 (Fri.)
- 本当に共同研究が自転車操業になっている。ミーティングの直前に読むべき論文を叩き込んでギリギリ間に合わせる。来週の予定を見てみても、ずっと共同研究を自転車操業せざるを得ない。
2026/09/03 (Thu.)
- なんとか無事に Mohit の来日を迎えることができた。僕自身は事務手続きは効率よく行える方だという自覚はあるのだけど、それでもかなり大変だったので、まずは本人が無事に来れたというので第一関門を越えられて安堵。まだ雇用の正式な書類手続きなどなど気は抜けないけれども。所内を回って学生室やポスドク部屋を連れて回って紹介した。みんな歓迎してくれて僕も嬉しい。普段所内をこんなに行脚することがないので、僕自身も新鮮な気分になる。もっと横の交流があった方がいいよねとは言うものの、いつも棚上げになっている。
2026/09/02 (Wed.)
- 招待講演終わり。40分の時間にしては過剰な量のスライドを用意した自覚はあったので意図的に結構テンポ良く喋るようにしていたので、やはりどうしても駆け足気味で聴衆には申し訳なかったのだけれども(喋っていてフィラーもかなり多いなという自覚もあった)、予想に反してかなり質疑が盛り上がって嬉しかった。20分くらい超過して質疑応答していたので、だいぶ興味を持ってもらえたのだと思う。ありがたい限りである。
- 来週の講演資料もまだ自転車操業で作っているが、資料作成の過程で自分の昔の証明を読み返しながら理解を深める機会にはなっていてありがたい。理想的には発表練習もすべきなのだけれども、流石にそんな時間は取れないのは残念。
2026/09/01 (Tue.)
- 凸回帰の考察 (2026/07/23) がここ最近行き詰まっていたのだが、Yutong とミーティングして考えがリフレッシュされた。本質的に問題が解決したわけではないけど、人と話すと「じゃあ次はこれを考えてみようかな」という別の角度が自然に見えてきたりするのが良い。いずれにしても、単変量と多変量のギャップを日々思い知るところである。
- 会議に来て「これ⚪︎⚪︎さんの研究が使えるんじゃないですかね」というコメントをまた聞くようになって、嫌な気持ちが蘇ってきた。そういう無理に学際研究をしようとするのは目的と手段が倒錯している。1 + 1 を美味しく 3 にしようという魂胆が見え隠れしてしまう。もしくは僕がそう邪推してしまう。本当に融合研究がやりたいのなら、一人で両方の分野にどっぷりと浸かる以外に方法はない。僕のこの考えは何年経っても変わらない。