Random thoughts in Japanese. All optinions are my own.
2025/11/12 (Wed.)
- 那覇に着いて横殴りの雨から一夜明けて小康状態。今朝はホテルで仕事をする。
- ぼんやりと「なぜマネージャー全振りした教員になりたくないのか」頭を掠め続ける。自分で論文を読まず手を動かさなくなってしまった教員は、たとえ研究環境を整備するのに大きく貢献していたとしても、研究自体の本質的な嗅覚が衰えている以上、ピントのあわない議論しかできない。「長年の経験に基づいたセンス」とか「素人発想」といった言葉はまやかしだと思っている。これだけ潮流の速い研究業界においては。そういうのは自分で手を動かしてから言うべきだから、教育者である前に研究者であろうとするべきだと思うのだ。価値あるアイデアは地道な試行錯誤からしか生まれない。
- IBIS に来た。とはいえメインはポスターセッション。久しぶりに会った豊田さんと、「微分方程式が誤特定されているとき、誤特定誤差と離散化誤差はどうやって分離できるだろうか」という research question を聞いて、それは連続力学系を離散化して最適化するニューラルネット界隈でも全く同じ課題があり得るなと思って納得した。とても考えてみたい。非線形 ICA はある種の設定下で識別可能性を定立しているのだから、似たようなことができたりしないか。
2025/11/11 (Tue.)
- ストロガッツを読み進め続けて3分の2を超え、カオスの章に到達した。先日感心しながら読んでいた Yorke & Yorke (1979) の話 (2025/09/14) も触れられていて驚いた。と同時に、教科書でも古典的な話題として取り上げられるトピックの元論文を自分が掘り当ててきちんと通読できたということが少し嬉しかった。ストロガッツも「天才的なアイデア」と評しているが、ローレンツ写像を使ったこの準安定性解析は実際カオスというとらえどころのない実体の中に鮮やかに規則性を見出しているという点で、本当に天才的だと思う。
2025/11/10 (Mon.)
- 週末はデジタルデトックス旅と称して竹田城に行ってきた。名実ともに34時間ほど一切の電子機器に触らず(一眼カメラ除く)、道中はランチや朝食、景色を楽しんだり、本や教科書を読んだり。おかげで今朝はこころなしか体が軽く感じられた。竹田城は前々から行きたいと思い続けていたのだが、タイミングがなく時間だけ過ぎていたので、夏頃に思い切りで宿だけ予約。外国人観光客すら寄せ付けないかなりの田舎ではあるものの歴史ある城下町の風情とそれを残そうとしている住民の心意気が感じられる町並みで、コンパクトな町並みながらカフェも宿も現地の方の丁寧なおもてなしを感じられた。未明の、しかも雨脚の衰えない中での竹田城登山には少し勇気が必要だったが、それでも夜明けとともに雲海がかかっていく景色は壮観だった。まるで水墨画のような。これは夜明けから山頂にいるからこそ見られる景色であって、圧巻であった。国内二人旅は2月の敦賀 (2025/02/24) 振りであったが、ここのところ国内旅行でいぶし銀な景色を楽しむことができていて、非常に満足度が高い。30年生きてきても日本にはまだまだ見知らぬ景色があるのだ。
- 学生とのミーティング。まあ裏で人間関係の揉め事はいろいろあるものの、「いま研究が一番楽しい」と言ってくれたのは教員冥利に尽きる嬉しいこと。ディスカッション中の彼の眼差しからも明確に感じられる。僕自身も次のミーティングにはあんな分析やこんな計算ができるんじゃないか、と折に触れてふと考えていることがある。
2025/11/07 (Fri.)
- 今日も彦根出勤の日なので、この良い季節を逃すまいと昼下がりに堀のそばで日向ぼっこしながらストロガッツを読み進めた。この1時間で幸福が染み渡る。
- 面倒を見ている学生もちょっとトラブルめいた話が本格化してきた。教員に満足の行くまで面倒を見てもらえない学生側のストレスも十二分に理解はできるが、学生の社会性のなさに対する教員の苛立ちもわかる。ちょうど自分がキャリア的にも板挟みなポジションにいるからなおのこと。元を正せば教育と研究に全時間を投入すべきはずの教員が、予算獲得やら運営会議やらに時間を奪われていたり、教員一人あたりの学生定員数のアンバランスさに問題があるのだが。まあドライな立場を取るのであれば、学生側もそのような環境では十分な指導を得られないことを先見して環境は変えるべきだろうが、しかし今回の一件は学生が(十分な社会性を備えずに)環境を変えようとした結果怒っているトラブルでもあるので難しい。
2025/11/06 (Thu.)
- コツコツとやってきたフランス語も1年半近くになるので、着実にステップアップしているのを体感できるようになってきた。今週のレッスンでは結構長く3分くらい(途中で単語を探しながらではあるものの)喋り続けることができたし、SNS に流れてくるフランス語の短めの投稿なら辞書を引かなくても意味は取れる。ドイツ語も韓国語も結局運用できるレベルには全く達しなかったので、齢30にして英語以外の第3外国語を自力で習得しつつあるのは非常に嬉しい。
- 先週届いた研究室に届いたストロガッツをコツコツ読み進めて、3分の1ほど読み終えた。だいたい線形系の話は終わって非線形系の話がはじまってきたタイミングで、このあたりから知らなかった非自明なトピックが始まってくる。単に力学系だけでなく、ベクトル解析や位相幾何学とも関連してくるので、読み物として面白い。先刻いま現在の共同研究を整理していたところ、思った以上に力学系関連のプロジェクトが多いことがわかったので、勉強するモチベーションも高い。
2025/11/05 (Wed.)
- 軽井沢合宿、手を動かして研究する研究時間は取れなかったけれども、かわりにオンライン学習に関して多くの勉強ができた。すぐに思い出せる面白かった話としては、スワップリグレットの下界の証明、オンライン凸最適化の下界の証明、2プレイヤー零和ゲームにおける social regret と individual regret の抑え方、などなど。証明のテクニックの見通しはとても良くて、単にそこに至るまでの研究の文脈を追えていないので、こういうのは詳しい人から教えを請うに限る。
- 京都から軽井沢、行くまではすごく遠くて億劫だったが、いつも通り仕事しながら新幹線に乗っていたらあっという間に着いた。新幹線で仕事ができるのは本当に都合が良くて、ほとんど時間のロスなしで目的地まで移動することができる。
2025/11/03 (Mon.)
- 軽井沢へ来て研究合宿。初日から swap regret の勉強をさせてもらったり既に有意義ではあるのだが、はからずも飲み会の席で相対主義に関して非常に闊達な議論があった。論点は2つ。一つは、相対主義的言明は条件付き期待値と相性が良いということ。条件付き期待値はとどのつまり「ある集団に限れば平均はいくらである」ことを主張する量である。相対主義も(原義的には)共時的・通時的な絶対的法則の存在を否定し、合理的な言明はあるスコープに限ってのみ合理的足り得るということを擁護する立場である(と考えている)。そのため両者には相互に通底する考えがある。二つ目は、相対主義を絶対視すること自体は自己撞着に陥っていないという点である。現象論のレベルで相対主義的であると考えることと、それ自体がメタレベルで絶対的に成立することを標榜することは、主張のメタ階層が異なるため、決して矛盾しているわけではない、というわけである。同様に、現象論レベルで相対主義的であることを、メタレベルでも相対主義的に擁護するという立場もあり得る。これは自分にとって意外に新しい視点だったと同時に、そうなると相対主義を絶対視する立場に対して感じる僕自身の違和感は一体何なのだろう、という新たな疑問を突きつけられる契機となった。
2025/11/02 (Sun.)
- 京都に戻ってきた一日の間にフランス語の試験、合間に論文を読んで、昨日のライブの精算をし、カフェに行ってスーパーで買い物を終え、ジムに行って明日の荷造りを終えた。よくよく考えると活動密度は高い。朝も久しぶりに7時まで寝たのでかなり元気になった。
- DELF A2 はたまにわからない単語はあるものの、まあ正直合格ラインは大幅に超えてるだろうとは思う。レッスンの先生の言うように受けなくても良かったかもしれないけど、まあ一つのマイルストーンということで。次は DELF B1。B1 まで受かったらだいぶ満足だな。その後はもはや会話の練習中心で良いだろう。来年中に受かれば嬉しい。
2025/11/01 (Sat.)
- ライブを終えた。江古田 Buddy なんて行ったのはもう2018年が最後か。サークルの OB バンドイベントとはいえ、流石に他のバンドが若過ぎて恐縮してしまうだろうかと気を揉んでいたが、全くの杞憂で若者は楽器もうまいし社交的に話しかけてくれるし、ありがたい限りだった。自分が学生だった頃に見知っていた後輩がまだ元気に楽器を続けているのを見れて嬉しい。
- 本番は練習と比べても遜色ないくらい結構良く吹けたかなと思っていたのだが、帰りの新幹線の中で(柄にもなく)ライン録音を聞いていたところ、あまりお世辞にもうまいとは言えなくてしょんぼりした。特に自分のソロが全然うまく吹けていない。根本的にリズムが出せてないのが致命的すぎる。まあ練習期間が実質2週間しかなかった中では少なくとも吹ききっているので最悪の事態は免れているが、全く満足がいかない。あと2週間ほしかった。そうしたらリズムとアーティキュレーションが多少は出せたと思うが、しかしまあベースの楽器力不足としか言いようがない。悲しい。それでも楽器を吹くと楽しくなってしまうから難儀なのだ。